独占連載「偽装労組」
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。
2020.02.15
「労働者を売る」「労働組合を潰す」――。引き続き<関生支部>が、いかに労働組合の仮面をかぶった偽装労組であるか、その正体を宝島訴訟などからあきらかにしたい。
今回は、大阪市住吉区の土木建築請負業者 株式会社泉本組(当時、従業員10名)の事例だ。解雇された組合員6名が2003年11月18日、<不当労働行為救済申立書>を大阪地方労働委員会に提出した。申立ては2005年6月29日、却下されたが、関生支部がどういう手口で「労働者を売り、組合を潰す」か、組合員の<申立書>から読み取れる。以下、その申立書に沿ってその実態を明らかにしたい。なお関生支部は、<連帯>と記されているので、そのまま連帯の用語を使うことにする。
泉本組では、一方的な給与の減給や時間外手当の未払い、年次有給休暇の付与など、劣悪な雇用条件の改善を求めて2002年8月、7名が社内組合を結成した。同年9月24日には、連帯ユニオン関生支部泉本組分会として公然化し、会社側に労働組合加入通知書、団体交渉申入書、分会要求書を提出した。その1ヶ月後の同年10月24日、関生支部執行部単独で会社側との団体交渉が行われ、<協定書>が結ばれた。その協定書の内容は➀会社は労働組合法・労働基準法等の諸法を遵守する➁会社は、組合員に影響を与える問題(身分・賃金・労働条件等の変更)については、事前に組合と協議し、労使合意の上で円満に行う➂会社は堺市福田に所有する車庫に於いて組合事務所と掲示板を貸与する―の3項目だった。協定書を連帯から示された組合員は、「これで、安定して安心できる職場ができる」と喜んだ。そして、素人集団である組合員は上部団体である連帯に指導と協力を求めた。団体交渉も連帯に依存した。同年10月末から連帯の看板数枚が組合事務所に掲げられた。看板は、外部から見て争議が行われているような異様で威圧的なものだったという。このため、主要な取引先だった株式会社奥村組(大阪府大阪市)出身の専務が、連帯の活動が奥村組に飛び火して、自分が失脚するのを恐れ、泉本組社長に組合員の排除を申し出たという。その結果、同社社長は組合員の解雇を迫られることになった。これがことの始まりだった。
翌2003年1月30日、有給休暇を獲得するための団体交渉が会社側とおこなわれ、連帯からも幹部が出席した。交渉途中、泉本組常務が、「あんたらとは人種がちがうんや」と、人権侵害発言し、組合員の怒りをかった。その直後の2月1日、泉本組は商法での2年に1度の役員変更登記手続きを前倒しし、会社の分割・営業譲渡を図って、常務が辞任しグループ会社の代表取締役に就任。それまで同グループ会社の代表取締役を兼任していた泉本組社長は辞任した。そして、同年4月から5月にかけて泉本組は全ての営業活動を停止した。
会社と連帯が協定書を交わしているのに、労働条件の改善どころか、営業活動まで停止している現状に不信感を抱いた組合員は同年5月上旬、連帯の武谷新吾執行委員(当時)を呼び説明を求めたところ、同執行委員から「会社が閉鎖になる」と初めて聞かされた。これと前後して従業員の1人が当時の社長から、「組合員を休ませて、他の下請けを使う」などと聞かされていた。このため、「泉本組と<連帯>との間に<闇>」の部分が多い」と、不信感と危機感を抱いた組合員6人が同年6月13日、連帯に脱退届を出した。これに対し、翌6月14日、武谷執行委員が脱会の撤回を求めて来たという。さらに同月16日には柳充副執行委員長(当時)が組合にやってきて、「会社を辞めたいと言うのなら、10あるものを全部取ったらアカンけど、9割は取りましょう」と、多額の和解金(解決金)を取れるかのように組合員に話をしたという。同月18日、柳副委員長の「9割は取りましょう」との再度の説得を信じることにした組合員は連帯脱退を撤回した。そして会社継続、雇用継続で意思統一し、同年7月1日、専務取締役と相談したが拒否された。会社側が解雇予告をしてきたのは同月20日だった。その前日の19日、連帯側は、<解決金>をめぐり、会社側と電話で<裏交渉>していた。会社側は連帯の要求を承諾したという。
解決金について、具体的金額が柳副委員長から組合員に示されたのは同月末日だった。会社側との交渉結果として、1人400万円プラス未払い賃金100万円の500万円と説明した。
しかし、同年8月7日の柳副委員長の説明では、話が全く変わってしまっていた。前日の6日、泉本組の社長が連帯に来て、<和解金(解決金)>は180万円と提示してきたという。組合員は話が違うと異議を唱え、500万円を要求した。
以下、次号に続く。
※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。