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近畿生コン関連協議会

[続]偽装労組

偽りの連鎖が、今はじまる。

偽りの連鎖が、今はじまる。

  1. 衝撃!武委員長解任劇とその背景<15>

2023.01.31

衝撃!武委員長解任劇とその背景<15>

ターゲット会社に分会つくり、会社を支配

全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部(以下、関生支部)が、どうやって生コン会社を支配していたのか、前々回(Vol.13)に引き続き、湯川委員長と一心同体の関係にあった元関生支部幹部K氏が、2020年10月、中央労働委員会に提出した<陳述書>の内容を紹介したい。

関生支部は、ターゲット会社にいったん分会をつくると、その後も会社側の関生支部に対する畏怖(いふ)心を利用し、次々と組合に有利な内容の要求を会社に突き付け、それらを織り込んだ内容の<協定書>や<確認書>を締結させることによって会社を支配し、多額の資金を吸い上げるなどしてきた。

◎高い運賃、賃金で、輸送契約を結ばせる

その一例が高い運賃での輸送契約の締結や高い賃金での日々雇用労働者の供給だ。関生支部は、労働組合でありながら、近酸運輸、タカラ運輸、コーイキ運送など生コン・セメントの輸送会社を自らの資本で経営。また、関連組織である全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部(以下、「近畿地本」)の名義で朝日分会や淀川ユニオンなどの労働者供給事業を行っていて、各生コン会社や輸送会社に日々雇用のミキサー運転手等を送り込んでいる。そして、関生支部では分会を立ち上げてその支配下に置いている会社のうち、例えば、自社のミキサー車を保有しないか保有台数の少ない生コン製造会社に対しては、近酸運輸などの関生支部が自ら運営する輸送会社との間で専属輸送契約を締結させ、また、保有するミキサー車を運転する運転手が不足している生コン製造会社や輸送会社に対しては、必ず関生支部が関係する朝日分会などの労働者供給事業所から日々雇用のミキサー運転手の労働者供給を受けることを約束させる協定書を締結させてきた。

◎関生支部運営の運輸会社は、輸送料が高額

これら関生支部の運営する近酸運輸等のミキサー車の輸送料は他社に比べ1日1台当たり1万数千円も高額な上、さらにそれらの専属輸送契約書には大体は会社側が輸送会社に対して1日何台分かのミキサー車使用を必ず保証すること、すなわち、仮に出荷量が少なくて契約台数のミキサー車を使用しなかった日でも必ず保証した台数分の輸送料を支払うという、会社側にとって極めて重い負担となる条項が入れられている(全額保証ではなくその何割かの金額を保証させる場合もある)。また、近畿地本が運営する朝日分会の組合員ではなくその何割かの金額を保証させる場合もある。

◎<近畿地本 朝日分会>の賃金は、他より1日5,000円も高い

また、近畿地本が運営する朝日分会の組合員の賃金は他の労働組合の労供事業所の日々雇用と比べて1月5,000円ほど高額だ。なお、労供事業所を運営する近畿地本は、組織上は関生支部の上部団体で、その下にトラック支部という別の支部もぶら下がっているとはいうものの、その役員等はほとんどが関生支部の役員等を兼ねているなど、実体は関生支部の一つの部局のようなものでもあり、武委員長ないし関生支部がほとんどの活動を仕切っている組織である。

以上の通り、関生支部がこれらの会社に結ばせていた専属輸送契約や労働者供給に関する協定書は、どれも会社にとって全く不利な内容で、通常であれば会社が受け入れるようなものではないが、会社側がこれらを拒否する態度を示した場合は、「それなら行動に移す」などと言って出荷妨害や街宣活動等による嫌がらせに出ることをほのめかすなどして会社側を脅かし、その要求を受け入れる内容の協定書等に署名させてきた。

◎退職者の後任は、関生支部推薦者

また、関生支部では、このような会社側の畏怖心を利用し、正社員の組合員が定年退職する場合は予めその後任には関生支部が推薦する人物を雇い入れるよう要求してその旨の協定書を結ばせ、実際はその組合員が定年退職すると、例えば争対部員として功績を上げた朝日分会(そのメンバーのほとんどが争対部員)の日々雇用者等を給与の高い厚遇の正社員ポストを与える形でそれらの会社に送り込み、引き続きその会社内で分会を組織させていた。

◎湯川委員長は、4社から毎月24万円余りもらう

さらに、これらの会社に組合専従者がいる場合には、全く会社で稼働しないこれらの従業員に対しても給与を支払い続けさせられるのが普通だった。関生支部では、会社で一切働いていない組合専従者も会社から給与支払いを受けることを当然のように考え、それを会社に行わせており、後に述べるとおり、湯川副委員長は今回逮捕される直前まで組合専従でありながら関生支部の分会のある京都協組加盟4社から毎月24万円余りの給与支払いを受けていた。また、京津ブロックの組合専従者であった私(K氏)と山本真也(政策調査部員)は、10年近くにわたりベストライナー及びタカラ運輸からずっと給与支払いを受けてきた。同じく松尾紘輔は滋賀県守山市にある安田産業という生コン会社から給与の支払いを受けてきた。今にして思えば、会社に対して極めて重い負担を強いていたことになる。関生支部では組合員に対し労働三権等の勉強会に参加させていたが、経費援助の問題を教わったことはなかった。

◎支配下に置かれると、会社閉鎖や経営権譲渡も

このようなことから、いったん関生支部の分会ができてその支配化に置かれてしまうと、会社は、組合専従中の社員を含めて正社員である組合員に高額の給与を支払い続けなければならなくなるだけでなく、関生支部の運営する専属輸送会社に高い輸送料及び保証料を支払わされたり、日々雇用労働者に高額の賃金を払い続けねばならず、そのために経営が行き詰まるなどして会社を閉鎖したり、経営権を譲渡しなければならなくなる会社も少なくなかった。そして、関生支部は労働組合でありながら、例えば株式会社ティーワイケイ高槻生コンや新淀生コンクリート株式会社など、上記のように生コン会社を自ら買い取って経営している例まである。

以下、次号につづく。

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