KURSレポート
KURSや仲間の活動情報をタイムリーに。
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2022.12.29
光陰矢の如し。月日の経つのは早いもので、2018年にKURS(コース=近畿生コン関連協議会)が発足して、今年(2022年)で5年目を迎えた。
その記念すべき第5回総会が、2022年12月10日(土)、全日本建設交運一般労働組合関西支部(以下、建交労関西支部)会館2階ホール(大阪市淀川区)において、今年の活動の総括と、2023年度春闘へ向けての運動方針提起を目的とした<近畿生コン関連協議会 関西労供労組協議会 第5回総会>が開催された。
上の写真をよく見てほしい。実は、今総会で大きく変わったのが総会のタイトルだ。昨年の記事(<第4回 近畿生コン関連協議会 総会>レポート)と見比べていただくと分かりやすいが、昨年は<近畿生コン関連協議会 第4回総会>だったが、今年からは、近畿生コン関連協議会(以下、KURS)と関西労供労組協議会(以下、KLWS=クルーズ)の、両団体名が併記された。
これまでもKURSとKLWSは連携して交渉や活動を行ってきたが、今総会の開会時、総会議長を務めたKURS事務局次長の藤川拓氏(建交労関西支部書記長)からの第一声、「ただ今よりKURSとKLWSの第5回総会を始めます!」との言葉からも分かるように、これまでの共闘の成果を確認し、活動を共にしてきたKURSとKLWS両団体の共闘色が、今回、より明確になった非常に意義深い総会だ。
総会は、藤川議長が総会へ向けての思いを語った後、両団体代表の挨拶で幕を開けた。まずは北小路敏樹KURS議長(生コン産労執行委員長)から。
北小路氏は挨拶の中で、「23年春闘においては、資源高による物価高、また円高の影響で、生活は相当厳しい状況が続いている。消費活動を活発化するためには、物価上昇に見合う賃金改善に取り組んでいきたい。そして生コン納入の精度向上、安定供給体制の確立に向けて輸送のネットワークを構築し、共同して安定供給体制の一翼を担っていきたい。そしてKURSはKLWSと連携して業界安定、雇用の安定に取り組んでいきたい」と、さらなる連携を強調。
それに続く松居順一郎KLWS議長(自運労京都支部執行委員長)も、その挨拶で、「政府の発表では平均賃金は年収700~800万円とか言っていますが、そんな数字は大企業や公務員の話で、我々はたとえ日額2万円になっても、実労20日として月額40万円、年収にしても500万円いかない。我々、非正規労働者は、今では全国で約2,000万人を超えていると言われている。政府にはその意味をもっと考えてほしい。我々としては、皆さんと一緒に、この問題をどうするかということを来年も考えていきたい」と、次期春闘への決意を述べ、本題である議案書の提案(説明)へと進んだ。
総会議案書の提案は、岡元貞道KURS事務局長(建交労関西支部顧問)が行った。
議案の提案で岡元氏からは、「ロシアによるウクライナ侵攻や円安などの影響で、エネルギーコストをはじめとする材料価格が高騰し、セメントメーカーが値上げを実施した。それを受けた大阪広域生コンクリート協同組合(以下、広域協)は、セメントや資材の値上げを受け入れ、翌年(2023年)4月1日以降の契約分について、生コンの建値をこれまでの21,800円/㎥から、25,500円/㎥に引き上げることを決定。そして今回、原材料メーカーに対する利益配分を進めた広域協では、次に生コン産業を支える従業員の給与水準について、加盟する全工場の経営者に対して、給与を見直すよう要請していく」、などの状況を説明した。
続いて、2022年春闘の取り組みと合意内容、2022年春闘の評価と今後の課題までの要点を解説、そのうえで、経団連の十倉雅和会長が2022年11月7日の定例記者会見で、次期春闘に向けて語った「物価をにらんだ賃上げが大事だ」との発言や、大企業が行っている<インフレ手当>や<特別手当>支給などの動き、また広域協の「生コン価格に見合った給与水準にしたい」との発言などを伝え、「2023年春闘に向けては、財界や大企業のベースアップ気運が、今や社会風潮にもなっている、これを追い風にして、KURS、KLWSに結集する4労組・11団体は、我々がセメント生コン業界の安定的発展に大きく寄与していることに確信を持つと同時に、一致する要求での共同共闘を強め、2023年春闘の前進を図ります」との言葉で、議案の提案を力強く締めくくった。
休憩をはさんで質疑応答となったが、今回は山口喜代重KLWS副議長、寺岡正幸KURS事務局次長、本多裕重KURS副議長など、幹事からの所感や要望、依頼に加えて、労組代表からも賃上げ交渉や新人教育について、気持ちのこもった意見や提案が出された。
関西ドライバーの七種氏からは、「賃金アップと新人の育成が関心ごと。会社と賃金交渉をするとき、プラントによっては力関係があって交渉しにくいところもある。そんなときに団体(協議会)からのプッシュというか、影響力のある発信をしてもらいたい。教育については、顧客側もコンプライアンスに配慮しているので、素人をそのまま現場へ連れていくのは難しい。お金も時間もかかるが、その部分を具体的にもう一歩進めてほしい」とのご意見。また協友の山崎氏からは、「皆さんは『日額賃金が18,000円では上がってない』と言われるけど、ウチらにしたら18,000円でも上がっている。例えば交渉時、会社側に<インフレ手当>が欲しいと言っても「何、それ?こっちがインフレで苦しいわ」と、言い返される。それなら、例えば目標額が21,000円なら、それを一気に上げる交渉ではなく、年間300円ずつアップしてもらうほうがウチらには交渉しやすい。300円アップを10年続けたら21,000円を超える。そうすると若い子も呼びやすい。あと免許取得費用の補助。半分でもいいから補助してもらえたら…」と、苦しい胸の内を語ってくれた。
対する岡元事務局長からは、労組代表の2人の意見について、「幹事会でも、18,000円というガイドラインを決めてもなかなかその通りにならない、ということは議論になっている。けどこれは労組法に基づく団体交渉ではないから、ガイドラインという形にせざるを得ない。この5年やってきて頭打ちの部分もある。しかしガイドラインと言えどもどう周知徹底するかで実効性のあるものになる。だから今回は、1月末に決まれば2月3月を周知期間として、輸送協や広域協やオーナー会も含めて文書や会議などいろんな形で決定事項を発信して、交渉をしやすいような環境づくりを実行していきたい。あと、<インフレ手当>について。物価高騰に対する下支えとして、世間一般の企業の間では、すでに<インフレ手当>という名目が認知されている。しかも正規労働者だけでなく、非正規労働者にもそれで対応しようという企業もある。なので、たとえ18,000円は変わらなくても、手取りとしてプラスされる。金額はほぼ決まり、その名目は来年の1月に、松居議長、山口副議長、白土副議長にも入っていただいて、考えましょうということになっている」と述べて、質疑応答を終了した。経済要求は、たとえ一気に解決しなくても、粘り強く前進する。労組として、それが正しいやり方だ。その後、次年度のKURS・KLWS幹事会役員の承認が行われた。
締めの挨拶では、KURS副議長(建交労関西支部執行委員長)本多裕重氏から、今総会を象徴する<団結>についてのコメントがあった。「今、カタールではサッカーワールドカップが行われている。日本代表はがんばって決勝トーナメントまで行ったが、惜しくも8強には入れなかった。しかし彼らはこの大会に向けて4年間準備をして、目標に向かって一丸となって進んできた。やはり目標を掲げるということが、団結をするには凄く重要だと思う。我々も、1,000名を超える仲間の生活をどうつくり、支え、広げていくかということには、団結が重要。なので目標を大きくしっかりと掲げながら、スクラムを組んで、それぞれの役割を果たしていくということが求められている」と挨拶を行い、最後に<団結がんばろう>三唱で締め、第5回総会は閉会となった。
総会のあとに行われた、会費制の懇親会では、総会に参加した幹事やほとんどの労組代表が残ったほか、西日本建設関連オーナー会の菅生行男会長と、同木村貴洋顧問(大阪広域生コンクリート協同組合理事長)を迎えて、互いにこの一年の労をねぎらい、次の年に向けて親交交流を深めた。