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近畿生コン関連協議会

推しプラ


あなたの[イチ推しプラント]はどこですか?


あなたの[イチ推しプラント]はどこですか?

  1. Vol.2 最新設備でめざす、生コン業界の<スーパーホワイト企業>。

2023.06.19

Vol.2 最新設備でめざす、生コン業界の<スーパーホワイト企業>。

生コンワーカーの目線で、近畿地域の<イチ推し生コンプラント(工場)>をご紹介する、新企画『推しプラ』。Vol.2は、広域協組・北ブロックの<大阪アサノコンクリート(株)淀川工場>(以下、同社または同工場)だ。

推しプラの取材では、ご担当者に、事前に大まかな取材内容をお伝えする、質問シートをお渡ししているのだが、取材当日、工場長の仲野秀作氏が持ってこられた質問シートをたまたま目にして驚いた。質問の回答がびっしりと書き込まれており、ひときわ目立つキーワードが目に入ってきた。なんと<スーパーホワイト企業>と書かれているのだ。その裏にはどのような魅力が隠れているのか、詳しく取材させていただいた。

取材にご協力いただいた工場長の仲野秀作氏(左)と、生産部課長の岸本正和氏(右)。

取材にご協力いただいた工場長の仲野秀作氏(左)と、生産部課長の岸本正和氏(右)。

【会社概要】
大阪都市部のインフラ整備や開発、再開発の一翼を担う拠点

まず開口一番に<スーパーホワイト企業>についてうかがった。「スーパーホワイト企業を<めざす!>ですから(笑)」と応えてくれたのは、工場長の仲野氏だ。なるほど、常に上をめざすのは良いことだ。この一言で、以後の取材をリラックスして行うことができた。

さて同工場は、1960年9月に操業を開始(会社としては1956年2月に設立)。1992年には当時のニーズに合わせて1回目のSB(スクラップ&ビルド≒リニューアル)を行っている。その後、さらに30年を経た昨年、2022年に2回目となるSBを実施。バッチャープラントには、将来を見据えて、高強度コンクリートや特殊コンクリートに対応した最新の混錬ミキサー<ジクロス NEO>を導入した。今回のSBについて、工場長の仲野氏は次のように語ってくれた。「30年前には、大阪都市部(の土木建築ニーズ)がここまで高強度化されるとは考えていなかったと思います。でも今は高層ビルや大型施設、橋梁など、高強度コンクリートを使う案件が増えていますし、今後も増加することを想定して、高強度コンクリートや特殊コンクリートに対応できるようにSBしました」。社会のニーズや時代に合わせて変化を遂げてきた同工場は、大阪の将来をしっかり見据えている。

同工場は、広域協組の北ブロックに所属し、出荷エリアは、地元の東淀川区をはじめ淀川区、吹田市、摂津市などの北部地域の案件から、全域ではないが都島区、旭区などの東側地域、大阪市の中心部となる北区や中央区、西は兵庫県伊丹市あたりまで、幅広いエリアをカバーされている。

案件の種類も高層ビル、集合住宅、鉄道、高速道路から浄水場、河川敷工事まで、官民合わせて多様な案件に対応し、最近では、うめきた再開発や阪神高速淀川左岸延伸工事など、大阪のインフラ整備や開発、再開発の一翼を担っている。長い歴史のなかで何度かの統廃合を経て、現在は同工場のほかに津守工場(広域協組 中央ブロック)・堺工場(広域協組 阪南ブロック)の3工場が操業している。

淀川工場のバッチャープラント。 プラントの南側に見える梅田ビル群の遠景(写真右上の赤丸内には梅田スカイビルが見える)。

淀川工場のバッチャープラント(上)。プラントの南側に見える梅田ビル群の遠景(下。写真右上の赤丸内には梅田スカイビルが見える)。

≪プラント概要≫

所在地 大阪府大阪市東淀川区豊新2-14-9
創業 昭和35年9月(淀川工場操業開始)
代表取締役 三好隆文
社員 10名
出荷量 約44,300㎥/年(2021年度)
ミキサー 1基(3,300L)<ジクロスNEO>
※螺旋アーム式2軸強制練り
生コン車台数 業務委託(大阪生コン輸送(株) 大型12台・小型1台)

≪ご協力いただいた方々≫

●工場長 仲野秀作氏
●生産部課長 岸本正和氏
●技術課 圓山朋弘さん

【地域貢献】
ハツリ作業の騒音に配慮して、別工場で作業を行う

  • 3.すべての人に健康と福祉を
  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 12.つくる責任つかう責任
  • 17.パートナーシップで目標を達成しよう

同工場の敷地周辺は、準工業地域ではあるものの、マンションや住宅、大規模商業施設などが多いことから、騒音問題には特に配慮されている。地域社会で、住民と持続的に社会生活を営んでいくには必要な配慮だ。特に気を使うのが、生コン車のドラム内で固まった生コンを叩いて除去するハツリ作業の音。「プラントの稼働音も気を使いますが、やっぱりドラム内のハツリ作業がいちばん気を使います」と、岸本氏。しかし、同工場には秘策があるという。「実は、ウチはここ(淀川工場)以外に津守工場、堺工場があって、そちらはマンションや住宅が少ないので、作業が長くなる場合は、そちらの工場で作業をするようにしています」と、周辺地域への騒音に対する配慮を語ってくれた。

また住宅地でもある当地では、毎年9月の3連休に<東淀川区民まつり>が行われているが、まつりの寄付などのほかにも、プラントの敷地内を駐車場として提供するなど、地域社会との交流にも熱心だ。

そして同工場の地域住民への配慮は、これだけにとどまらない。敷地出入口は、大阪シティバスが通る府道14号大阪高槻京都線に面し、その間に歩道がある。そのため、常に人通りがあることから、生コン車や資材運搬車の出入りの際の安全対策として、正門前にセンサーを付け、パトライトとブザーを設置して、通行人の安全を守っている。

工場の立地や工場間の連携を生かした工夫による、同工場らしい地域貢献だ。

車両が近づいたらセンサーが働き、通行人にはパトライトとブザーが、車両の出入りを知らせてくれる。

車両が近づいたらセンサーが働き、通行人にはパトライトとブザーが、車両の出入りを知らせてくれる。

【福利厚生】
新人には資格取得をめざす、独自の教育研修制度

  • 3.すべての人に健康と福祉を
  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 17.パートナーシップで目標を達成しよう

冒頭にも述べたが、同工場は<スーパーホワイト企業>をめざすと自負するだけあって、従業員に対する福利厚生については充実している。

施設としては休憩室や食堂、喫煙場はもちろん、なんと入浴場を設置しているのだ。「生コン車のドライバーなんかは、ひと汗流して帰る社員も多いですよ(笑)」と、岸本氏。大阪キタの中心地、梅田にも電車ですぐの場所に立地する同工場。終業後、サッパリして電車で街に出られるのはありがたい。また女性用トイレが別棟になっているのも気が利いている。

このほか、同工場の立地ならではの通勤手段として、マイカー通勤のほかに、公共交通機関での通勤が可能なのもうれしい。JR淡路駅から5分、阪急淡路駅から10分、大阪シティバス豊新2丁目バス停はプラントのすぐ近くだ。そのうえ、規定の通勤距離を超える場合は、プラントの近くに社宅(マンション借り上げ)も用意されている。

さらに同工場の素晴らしい点は、若手社員の育成・教育に力を入れていることだ。「新人には座学と実地による新人研修を行い、安全教育はもちろん技術継承にも、積極的に取り組んでいます。社内社外を問わず年間を通してカリキュラムを組んで、未経験の新入社員でも資格を取得してもらえるように支援しています」と、と胸を張る岸本氏。工場長の仲野氏も「今現在では、新入社員の一人だけがまだ資格を取っていないんですが、他の社員は全員有資格者です」。同社は、セメントメーカーである太平洋セメント(株)(東京都文京区)のグループ会社ということもあり、昔から技術向上に対する意識が非常に高いという。なるほど、資格取得サポートの充実度は高く、大手企業にも負けてはいない。

さすが<スーパーホワイト企業>をめざすだけあって、働く人にはうれしい職場環境とだと言える。

なんと工場内には風呂場も完備。夏場にはありがたい施設だ。

なんと工場内には風呂場も完備。夏場にはありがたい施設だ。

【安全対策】
安全対策では、他工場や本社の人の目を通してチェック

  • 3.すべての人に健康と福祉を
  • 12.つくる責任つかう責任

社内の安全安心についても、同工場はきちんと考えている。会社の基本は、毎日、真面目に働いてくれる社員であり、万が一、従業員が事故やトラブルに巻き込まれた場合、まず第一に本人にとっては大きな損失になるし、場合によっては会社経営に影響を及ぼすこともある。

そこで同社では、本社生産部に安全管理を専門にした責任者を配置して、<全社安全衛生委員会>を毎月開催。ここでは担当者が立てた年間計画に基づいて、改善の提案や進捗確認や注意喚起などを行う。「これは同じ工場の人間だけじゃなくて、他の工場や本社の人から見てもらって、日常的に気づいてない危険個所にも気づけるようにという意図でやっています。もちろん時々担当者も変えながら」と、仲野氏。また年に1回、担当者と各工場長、社長、太平洋セメントの業務部が同行して施設内の<安全パトロール>を実施している。3工場の連携を生かした、同社ならではの安全対策といえる。

また生コン車ドライバーのために、現場の注意事項やルート確認を行う、毎日の朝礼(始業ミーティング)も欠かすことはないという。

毎日の朝礼と、月1回の<全社安全衛生委員会>、年1回<安全パトロール>というトリプルチェックが、同社の安全対策に対する姿勢の真摯さを物語っているのではないだろうか。

安全パトロールには、安全担当者と各工場長、社長、太平洋セメントの業務部が同行。

安全パトロールには、安全担当者と各工場長、社長、太平洋セメントの業務部が同行。

【ビジョン】
<技術継承>と<SB>で会社の未来を拓く

  • 8.働きがいも経済成長も
  • 9.産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 12.つくる責任つかう責任

◎次代を担う若手社員を、毎年、獲得・育成

<スーパーホワイト企業>をめざす同工場は、どのようなビジョンを持っているのか、取材の最後に仲野氏にうかがった。

ひとつ目のビジョンは技術継承。つまり若手社員の獲得・育成だ。

人手不足は、今すべての業界の課題だ。特に生コン業界は、具体的な仕事内容ややりがい、待遇といった魅力があまり知られていないからか、どのプラントも人材獲得に苦戦している。そんななか同工場の人材獲得策は非常に前向きだ。自社で、民間の人材紹介会社や学校の就職課などを通じて、求人を行っているという。しかも毎年だ。「新卒、キャリアや大卒、高卒などにこだわらず、今は年齢層の少ない20代を中心に募集しています」と、仲野氏。このような活動によって2021年に2名、2022年には3名の採用があるというから凄い。さらに入社後には、先に述べたように充実した教育制度で、資格取得をめざすことができる。このような地道な努力があって、今では離職率の低さが、他社からも認められているという。

座学や実地による研修が行われるので、新人も安心して資格取得をめざせる。

座学や実地による研修が行われるので、新人も安心して資格取得をめざせる。

◎容量3.3㎥の最新型ミキサーで、安定経営&労力軽減

もうひとつは、大阪の社会基盤を含めた街づくりへの貢献だ。

その核となるのが、今回のSBで導入した<ジクロス NEO>。同機は従来のパドル型ブレードなどとは違ってシャフトが無く、螺旋アームが付いた2軸強制練り方式の最新型ミキサーとなっている。この独自の構造によって優れた練り混ぜ性能が発揮でき、練り混ぜ効率が従来より大幅にアップしているため、高強度コンクリートや特殊コンクリートの製造に向いているという。さらにミキサー容量が同機では国内初の3.3㎥と大きいため、これからの社会ニーズに対応した製造が可能だ。「特に、特殊セメントを使用した高強度コンクリートの製造能力は、更新前に比べて、1.3倍以上となっていて、時間的な瞬発力は飛躍的に向上しました」。つまり、より多くの仕事が受注でき、しかも効率よくスムーズに納入できるようになるということだ。これは経営の安定にもつながるうえ、時短や労力軽減にもつながる。「今回のSBで最新の設備に更新したことで、社員の気持ちも新たに一丸となることができました。今後は<うめきた2期地区開発プロジェクト>工事のような、大型プロジェクトに関わったり、広域協組が進める低炭素型コンクリートの標準化に向けた取り組みにも、これまで通り積極的に参加していきたい」と、岸本氏は自信満々の笑みを浮かべる。

そしてこのSBの魅力はこれだけでは終わらない。これまでのミキサー内洗浄では、手洗いに相当時間がかかっていたのが、新しい洗浄機に<ティーチング(操作記憶)機能>が搭載されていて、洗いたい時間・箇所・洗い方の強弱・水量なんかを自由にカスタマイズできる。「これまでに比べて、後の手洗いの時間短縮や労力軽減、水の節約にもつながります。せっかく施設を新しくするので、そのへんのメリットも考えて設計しています」と、岸本氏。洗浄だけでなく、集塵機を利用した掃除機を各階に設置し、プラント内もホコリの発生を抑える工夫をするなど、掃除による労力が軽減できるように設計されているという。さすがめざすは<スーパーホワイト企業>、従業員のことも忘れてはいない。

バッチャープラント内に設置された2軸強制練り方式の最新型ミキサー<ジクロスNEO>。 生コンを効率よく練り混ぜる螺旋ブレード。

バッチャープラント内に設置された2軸強制練り方式の最新型ミキサー<ジクロスNEO>(上)。生コンを効率よく練り混ぜる螺旋ブレード(下)。

◎ここが私のイチ推しポイント!

『“この建物は、自分が納入した生コンでつくった!”が自慢』

  • 3.すべての人に健康と福祉を
  • 8.働きがいも経済成長も

<技術課 圓山朋弘 さん>

圓山さんは昨(2022)年にキャリア(中途)採用で入社したニューフェースだ。「手に職をつけたい!」と決意し、転職活動をしているときに、積極的な資格取得を奨励している同社の求人を見つけた。

「コンクリート技士・主任技士への資格取得の道がありますし、講習会もしてくれるということで応募しました」と、明確な意志を持って応募した圓山さん。実は前向きなのには、もうひとつ理由があった。なんと新婚さんなのだ。今後の生活設計に影響する待遇面などもちゃんとチェックしていた。「労働環境も良いですし、年間休日も充分。福利厚生も充実していて、ほんとスーパーホワイト(笑)。あと、資格を取ったら手当が支給される点も決め手になりました」と、しっかり者の一面も。

そんな圓山さんは、仕事への意欲をこう語る。「ここは都市部に近くて、知名度の高い大規模な現場に生コンを多く納入しています。なので『この建物は、自分が納入した生コンでつくられた!』と、皆さんプライドを持っていて、仕事に対するモチベーションが高いです。もちろん私も」。技術者をめざす圓山さんにはお似合いの職場だ。

そんな圓山さんに休日の過ごし方をうかがった。

「実は、結婚式や新婚旅行を控えているので、最近は準備や打ち合わせで大忙しです。ですがこれまでは、趣味のアクアリウムつくりや水槽のメンテナンスをして過ごしたり、月に1回は友人と飲み会をしたり、季節ごとにドライブや登山などのアウトドアに出かけたりしてリフレッシュしていました」と、ONもOFFも充実の圓山さん。「コンクリート技士の受験には実務経験が3年必要なので、あと2年間じっくり勉強をして一発合格を目指します!」と、意欲を見せる。

これから始まる新生活も、公私ともに頑張ってほしい。

帰宅後や休日はアクアリウムの癒やし効果でリフレッシュ。自慢の水槽には、数種類の熱帯魚や小エビなどが元気に泳いでいる。

帰宅後や休日はアクアリウムの癒やし効果でリフレッシュ。自慢の水槽には、数種類の熱帯魚や小エビなどが元気に泳いでいる。

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