KURS(コース) /
近畿生コン関連協議会

インタビュー・対談

生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。

生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。

  1. 大阪広域生コンクリート協同組合 木村 貴洋 理事長

2018.06.25

大阪広域生コンクリート協同組合 木村 貴洋 理事長

まずは環境に配慮した材料、労働条件の改善、各社の経営の安定化が大目標であり大前提とのこと。生コン業界は、3Kから新しい〝三方よし〟へ生まれ変わると力強い言葉で語っていただきました。

木村 貴洋(きむら たかひろ)
大阪広域生コンクリート協同組合理事長(2011年4月就任)
威力業務妨害・組織犯罪撲滅対策本部本部長
大阪兵庫生コンクリート工業組合理事長
西日本生コンクリート連合会会長

“三方よし”で団結

大阪の業界状況は?

大阪広域生コンクリート協同組合、木村理事長にお話を伺います。よろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

大阪広域生コンクリート協同組合は、全国の中でもいちばん規模の大きい協同組合だと聞いています。関西の重要なポジションを担っているのだと思いますが、最近の状況はいかがですか。

大阪広域生コンクリート協同組合(以下「広域協」)は、大阪府と兵庫県の一部ということで、全国を見てもエリア的に相当広い協同組合になります。数的に非常に小規模の事業者が多いので、社数ならびに工場数が多く入っています。

平成7年に設立されましたが、最近の状況はいかがですか。

スタートした平成7年は25社、37工場でした。平成10年に約105社、128工場と大所帯になりました。それから生産集約等を進めてきたと同時にエリアを拡げて、いま現在に至るわけです。

現在164社、189工場という大所帯で、兵庫県の相生ならびに西部地区まで入れますと、全国で一番大きい協組になります。

先日、和歌山で生コンクリート業界のことについて、お話をお伺いしました。和歌山のほうは最近、公共工事等が減ってきたというお話を聞きました。私のイメージでは、関西はこれから万博も来るのではないかというお話もありますし、上向いていくのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

その期待は非常に大きいですね。これは今年の11月に決まると思います、2025年の万博、そのあとのIRの計画、そして2019年にはラグビーのワールドカップが始まります。それに関して若干スタジアムの改修とインフラの整備が始まるということです。今後の需要は一瞬的には期待できるという状況です。

労働組合の影響力が強い事情

そんな中でも、いまいろいろな問題を抱えていると伺っています。インタビューをさせていただくにあたって、インターネットで検索をしましたところ、いろいろな動画が上がってきました。何かややこしいことになっているなと、個人的には思ってしまいましたが、そのあたりはどのように考えればいいですか。

一般の方から見られますと、何がおきているんだろうということですね。この業界は過当競争の業界で、非常に労働組合の影響力が強いという特殊な事情があります。経営者も労働組合も、本来であれば健全な労使関係を構築しようとするものですが、一部労組の行動が発端となり、混乱をきたしているという状況です。

これは過去にも何度も繰り返されてきたのですが、去年12月に一部労組による『スト』と称する行動、私たちからすれば、威力業務妨害行為を機に、今一度、生コン業界における労使関係の健全化をはかろうと、経営者側も労働組合側も真剣に見直そうという機運が高まり、毅然とした対処・対応を検討する中で対策を講じています。ネット上であげられている動画などは、その係争に関するものです。

労働組合と聞くと、労働者のための機関であって、そこと企業側をもつなぐ働きをするんだなと、私の中では思っていました。けれど、いろいろ調べていくとそうではなく、ちょっとゆがんできているので、そろそろ元に戻していこうというところでしょうか。

先ほど申し上げた一部労組というのは、連帯労組(全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部)という労働組合のことですが、彼らの行動は異常としか言い様がありません。私たちは到底労働組合だと認めることはできません。労働組合としての機能とは違った行動をしているので、この組織に関してはもう関わらないという方向で、現在物事を進めている状況です。

労働組合自体が悪いというわけではなくて、その一部ということですか。

労使関係ですから、やはり働く労力がなければ、経営者も事業がうまくいきません。普通の関係に戻すということが、いま現在我々のやっている行動です。

いずれこれも終結すると思いますから、そのときに結果がきちんと見えるし、それに対して我々もきちんとした努力をするということです。

連帯労組とは関わらないということを、今回きちんとしたいという行動です。全国津々浦々、生コン会社は約3300工場があって、いろいろな状況にあります。需要の変動が激しく、そうした影響から閉鎖した工場も少なくありません。大阪は日本でも二番目の都市ということで、年間数量は1000万m3、広域協で約750万m3の出荷想定です。

建設投資、国の投資も含め需要は若干下げ気味ですが、まだまだ国土建設において生コンクリートは重要な基礎資材ですから、業界の発展が求められていると思っています。

そうですよね。それももちろん働く労働者がいて成り立つことだと思いますが、理事長が考える健全な労使関係というのは、具体的にどういうことだと思われますか。

昨今では週休2日制ということで、労働時間ならびに賃金、それぞれの労働条件をきちんとした方向に持っていくこと。生活が豊かになっていますから、休みと仕事のメリハリをきちんとつけることです。

一面では3Kと言われて、『汚い、きつい、危険』というイメージが定着しがちな業界ではありますが、非常にいい産業であるということは自信を持っておりますので、労働諸条件を良いものに改善したいと考えています。今は経営者も労働者も身を引き締め、新たな道を進む変革の時期です。

過去には、そういう部分がうまくいってないところもあったかもしれないけれども、一斉にそれを正していこうということですか。

やはり社会が進化していく上で、労働条件等が変わってきます。一時は何時間でもOKと、長時間の残業をしながら経済が発展したわけですが、経済が安定してくると、それに連なる環境が整備されるのが普通です。日本の国の環境が整った、我々も環境が整った中で、労使関係を構築していくことが一つの大きな目的です。

生コンの価格が安定してくれば経営も安定する。同時に労働者の条件等も安定する。安定を求めるために、現在協同組合の事業に邁進しているということです。

それと社会貢献です。いま現在は社会貢献が、大きな事業を展開する上で欠かせない一つの大きな問題です。ここも我々としては大阪府ならびに兵庫県に関して、いろいろな事業、福祉事業に参画する、それに対する基金を出す、などを考えていく中で進めていく。これが企業としては大きな役目ですね。

品質の保証、安定供給、社会貢献、そして安定した価格

大阪府との防災協定

個人的な質問ですが、私は兵庫県出身ですので、小さいときに阪神・淡路大震災を経験しております。東日本大震災もありました。また南海トラフも言われています。起きてはほしくないのですけれど、災害で建物が壊れてしまうと、やはりコンクリートが動くと思います。そのあたりの準備は全体的にありますか。

そうですね。防災協定も結んでいますし、我々の事業はそういうときに継続できる方法を模索して、内閣府が掲げている国土強靭化に参画しています。もしそういう災害が起これば、生コンクリートを早急に納入できるシステムを今現在構築しています。

それはいま進んでいるのですね。

そうです。10年ぐらい前から大阪府とは防災協定を結んだ中で、いま現在、大阪広域協組には兵庫県の地区も入っています。兵庫県ならびに神戸市と、震災でいろいろなことが起こった地域の事情をよく理解した上で、勉強した中で何が必要なのかというのは、いま現在も模索しながら。それと緊急時にはそういう対策が講じられます。

これは経営者が意識を持たないと、なかなかできない事業です。毎年のように防災の日を一つの目的として進化させていくことを心がけています。

それを伺って安心いたしました。

ありがとうございます。

今後の年間行事計画をお聞かせください。

協同組合は各事業者さんの集まりですから、6月に総会をして年度の計画を出して、今後の事業想定ならびに地域との連携。これを年間の行事の中に入れていきます。

関連しますと、西日本生コンクリート連合会ならびに西日本建設関連オーナー会と、労使の関係ならびに事業者の関係の中で年間、社会に貢献できる協同組合作りに予定を入れていく。そういう年間行事を、6月の総会で発表するという運びになっています。

今年度は先ほど一部の組合との話もありましたが、ちょっと色が変わる、前進するようなイメージですね。

そうです。政策としては『三方よし』ということです。環境整備の上で多くの材料を使いますから、この材料関係。環境に配慮した業者から買う、それと現在の労働条件の改善、各社の経営の健全化。

この三つを備えて、最終的には買っていただくゼネコンさんに、我々がきちんとしたサービスができる状況をつくり出すことが一つの大きな目的です。協同組合ですから皆さんの意見を集約して、環境を配備した中で進めていくということです。

協同組合の方は皆さん、今は同じ方向を向いている、団結している形ですか。

そうですね。団結しないと、なかなか物事は進みませんから、意思をよく聞いた中で理解を求めます。そして皆さんの賛同を得て、前に進んでいきます。

最終的にはエンドユーザーさまにも、きちんとした理解をいただく。それと各従事している労働者ならびに経営者も理解していく。その中で収益を上げることがいちばん大きいですから、我々も経済の停滞を許さない、倒産を許さない。倒産を見ますと、すべてが不幸になりますから、そういうことを許さない経営をされるように、我々も勉強していき、またそれを伝えていくという作業がございます。そこも念頭に置いた中で運営をしていく。

また、『三方よし』と大きく掲げていますので、これに賛同された方が大阪広域協組の協同組合をきちんと支えていただく。今後、社会にも、きちんとしたものを届けることが一つの大きな目的です。

ちなみに四つの柱がございます。品質の保証、安定供給、社会貢献、そして安定した価格をいただく。この四つの柱の中で、いまも全組合員がそこに一同になって、今後励んでいくことがいちばん大きいところです。

今日は心強い、前向きになるお話を聞けてうれしいです。大阪広域生コンクリート協同組合、木村理事長にお話を伺いました。ありがとうございました。

ありがとうございます。

協賛団体

PAGE TOP