インタビュー・対談
生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。
生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。
2018.06.25
オーナー会の最終目標は一致団結して労使関係を健全化し、正規雇用を増やし、これからの業界を変えていく。
西日本建設関連オーナー会、菅生会長にお話を伺います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まず生コンクリート業界は、協同組合が営業的なことを担い、工業組合が技術的なことを担い、そしてオーナー会は労使問題についての取り組みを考えていく機関だと伺ったのですが。
はい、そのとおりです。
労使問題については最近いかがですか。一部の労働組合ともめごとが起きているのかなと、インターネットにも出ていました。
この業界の悪しき問題だけれど、過去には連帯労組を含めて関係労組の六労組に対して、労使共同で業界改善の取り組みが必要ということで、その環境整備に関わる費用を捻出していました。あわせて、過去の労使関係において問題視されていた労働組合から経営への人事などに口出しするような関与はしないように、業界の未来に向けた健全な取り組み方を要望していました。
そうした経過から労使関係の健全化が進もうとしていましたが、連帯労組だけは30年前、20年前の諸事情を「我々の権利だ」と難癖をつけてきたものですから、環境整備の費用捻出を一旦停止することとしました。すると連帯労組は『ストライキ』と称して、生コンの原材料であるセメントの出荷を妨害してきたので、私たちはこれに屈せず、とことん闘おうということになりました。
労働組合の方も、建交労(全日本建設交運一般労働組合関西支部)、産労(連合・交通労連関西総支部生コン産業労働組合)、UAゼンセン(UAゼンセン関西セメント関連産業労働組合)は、連帯労組によるストには賛同できないと表明しましたので、オーナー会として、広域協(大阪広域生コンクリート協同組合)として、まともな労働組合とは労使関係を健全なものにしていこう、賃金も上げていこうと、共通の目的を持って取り組むこととなりました。
この業界は、様々な形で労働組合と向き合うという長年の労使問題と共に歩んできた歴史があります。
すごい歴史がありますね。
経営者は、労働者の賃金が高止まりになっている状況から正社員を減らし、労務問題を抱えたくないという意識から、本来便宜的に扱う日々雇用労働者を主に使う慣習が広がってきた現状があります。
本来であればきちんと働き、きちんと給与を支払うことが大前提です。働く環境に何か問題が生じれば、労働組合が積極的に経営者と交渉して改善をはかるものですが、一部の労組だけは他の労働組合とは一線を画した活動をしているということですか。
そうです。
それをこの度きちんと改善しようという感じですが、変わりそうですか。
いや、「変わりそう」じゃなしに、変えていかないといけない。連帯労組に関しては、この業界から排除していく。他の労組とは健全な労使関係に。
他の労組との関係改善は、本来の労働条件のあり方を含め、時代にそぐわない協定書の見直しなど、いろいろな部分を改善していきながら、健全な労使関係でこの業界を擁していかないといけないということで、いまオーナー会は頑張っているところです。
菅生会長が思う健全な労使関係とは、具体的にどういう関係ですか。
いままでは連帯労組を含め関係労組の影響力だけでルールが決まってきた。力でこの業界の経営者は皆、負けていましたから、協定書には無理難題な部分もいろいろあります。
経営者は働きやすい環境をつくり、労働者はきちんと働くという当然のあり方が健全だと言えると思います。そういう取り組みが、いまいよいよ始まるところです。
関西における労働者の方の人材は足りていますか。いまどこでも人手不足が叫ばれております。人手不足というより人材不足とか、技術的なことができる人が減っているとか、そういうニュースを見ますけれども、そのあたりの問題はどうでしょうか。
健全な労使関係になれば、日々雇用などを使わなくて正規雇用に変えていきます。ところがあまりにも賃金が高くなったので、工場としては皆、輸送を切り離していった。雇用もできるだけ少なくしていったという現状があります。
まともな労使関係が築き上げられれば、正規雇用がどんどん増えていくと思います。いま日々雇用でやっている人も、ちゃんとして働く人は将来、正規雇用に変わってもらうことを目指しています。
そうですね。お互い、そちらのほうがいいですし、働く人ももっと意欲を持って頑張ろうと思えますし。
少なくとも各工場に、適正な人数の正規雇用を置いてやらないことには、広域協組の中でもスポットや、いろいろと細かい管理や業務ができなくなります。やはり人は必要です。
大きな物件に関しては「いつ・いくら」と予定が入ってくるのですけれども、スポット(小口の注文)というのは直前でないと入ってきません。そうしたものに対応するうえにおいても、必要人員の確保は正規雇用でということになります。
各工場の出荷状況において、スポット中心になってしまっている工場もあります。そうすると、こうした工場は正規雇用が多く、そうでない工場は日々雇用労働者や外注ばかりとなり、経営者間でも不満が出ます。これは早期に解消しなければならない。コスト面で不均等になりますから。
それはオーナー会のほうから、各工場とかに打診をしていく。もちろん、それぞれの工場の経営的な問題や条件もあると思いますが、一人でも多く正規雇用を増やしていけるように働きかけていくと。
そのための労使関係の健全化です。労使で働く環境を整備すれば、正規雇用が増えていくのではないかと思っています。そこは労組と一緒に、これからもやっていきましょうと。労働組合の方も努力するとしています。
そのような話もできないような違うことをしている労働組合とは、いっさい手を切っていこうと進めているということですね。
はい。
その問題は解決しそうですか。
させないといけない。
大阪、兵庫だけではなしに、和歌山、奈良、京都、滋賀という部分まで、関西一円の労使関係を健全なものにしたいというのがオーナー会の最終目標です。
みんなで力を合わせて一致団結できれば、本当にお互い、経営側も働く側もいい環境になっていくのではないかと、お話を聞いて思いました。
オーナーは皆、だいたい思うことは一緒です。ただ、これまでは労働組合との関係にアンバランスがあって、業界改善という大きな目標に挑めなかったことがあります。労使対等、労使協調の関係構築に力を注いでいます。
西日本建設関連オーナー会の菅生会長にお話を伺いました。ありがとうございました。
ありがとうございます。