インタビュー・対談
生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。
生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。
2018.06.25
混和剤業界の一人として生コンクリート業界と手を取り合い社会インフラの整備や強化を通して、業界のイメージアップに努めたい。
三協ミライ株式会社、高木社長にお話を伺います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
混和剤とはどういったものなのでしょうか。
人の体に影響を及ぼすお薬のように、コンクリートの原材料の一部としてコンクリートを製造するときに、コンクリートの強度だとか作業性、耐久性、そういった重要な要素に対して、大きな影響を与える原材料のひとつが、総称してコンクリート混和剤と称されています。
それを、三協ミライ株式会社で開発しているということですか。
いえ、三協ミライ株式会社は、コンクリート混和剤を販売している販売店、全国に数ある商社販売店の中の、一販売店になります。
販売店は関西でもたくさんありますか。
正確ではありませんが、販売店は関西でも十を超える数の会社があります。
生コンクリート業界には、それぞれに協会や協同組合がありますが、混和剤メーカーに関してはどうですか。
混和剤メーカーも、混和剤協会という団体がありまして、実は今年、混和剤協会創立40周年になると思います。日本の混和剤メーカー、コンクリート混和剤を製造する会社がそれぞれ相互に集まって、業界に貢献するためにそういう会を設立して、今年で40年の佳節を迎えております。
40年近い歴史があるということで、高木社長から見て、混和剤業界の景気はどんな感じで変わってきていますか。
混和剤業界は生コンクリート業界のなかの枝葉であって、主たる幹はやはり生コンクリート業界です。そこに、原材料の一部として、混和剤を供給している立場ですので、いつも生コンクリート業界の好況・不況に、あるいは数量も含めて影響を受け続けてきたのが、コンクリート混和剤業界です。
同時に、この40年を振り返りますと、本当に生コンクリートが大きく変わりました。コンクリート強度がいまのように80ニュートン、60ニュートンというようなコンクリートは20年、30年前には考えられませんでした。いまの高強度コンクリートをつくるために大きく寄与し、貢献してきたのがコンクリート混和剤です。コンクリート混和剤の高性能減水剤の開発と製品の向上なくして、いまの生コンクリート業界における高強度コンクリート時代を築くことはなかったと自負しております。
それはこれまでの日本に起きた大きな災害がきっかけでしょうか。
一つには阪神・淡路大震災。そういった社会資本を大きく棄損する出来事がありまして、建築基準法が大きく変わると同時に、コンクリート構造物の耐久性が大きく求められる時代に変化してきました。そのことによって、コンクリートの強度、耐久性に対して一段とパワーアップすることが求められる状況になりました。
必然的に生コンクリート強度の高強度化時代がやってくると同時に、建築工法もS造、SRC造、RC造に加えて、CFT構造システムという新しい工法が開発され、そのCFT構造システムに必要とされる生コンクリートの強度は、本当に高強度を求められるようになりました。
混和剤というものがすごく重要なものになってきたということですよね。コンクリートの質はそれぞれの工場でチェックはされていると思うのですけど、三協ミライ株式会社で、現場に行ってどう使われているかとか、品質をチェックされたりしていますか。
はい。一般的には販売店といいますと、左から仕入れて、それに手数料を乗せて右に売るという行為で完結するのです。しかし、コンクリート混和剤の販売は、生コン工場、ひとつひとつの工場で、それぞれの特色があります。その工場の方々と、特に品質試験を担当する方々とともに寄り添って、一緒に製造するコンクリートの品質とか作業性等に、私どもの会社の営業担当が深く係わり合いを持つことによって、商品も結果的には販売できていること。ある意味で一緒に歩んできたという、大きな自負を持っております。
混和剤の他の販売店は、どうなのでしょうか。
全部ではないかもしれませんけれど、私どもの販売店だけに限らず他社の販売店も、基本的には生コン業界とともにコンクリートの品質に関わり合いを持ち続けたいというふうに思っていると思います。
すごく特殊な知識が販売する側、営業の方にも要ると思います。人材はどうですか、足りていますか。
いえ。いまは特に人材確保が経営上の重要課題として、わが社も持ち上がっています。同時に弊社の場合は、コンクリートを知らない方が仮に販売員として入社したとしても、コンクリート技術の習得のために技師試験とか主任技師といった業界のハードルをしっかり取れるように、会社全体でも努力しております。
それは育成をしていっているということですね。
そうですね。世の中、社会からは生コンクリート業界・コンクリート業界というのは、一般的な方から見ると縁遠い感がやはりあります。
ですから、きついとか、作業着を着て汚いとか、そういうイメージがあるけれど、最近は特に、大阪広域生コンクリート協同組合においても、小学生の絵画展をやったり、全生連でもロゴマークを社会の人に受け入れられるようなものをつくったりして、少しずつ、生コンクリートが、社会の人から身近な存在、イメージで捉えられるような、そういう変化があることを喜んでいます。
業界みんなで手をとりあってイメージアップにつなげているという、生コン業界がないと建物も建たないし、街も活性化していかないので、すごく社会的に重要な位置にある仕事だと思うのですけど。
そうですね。おっしゃるとおり、いま気候変動等がありまして、特に大洪水だとか自然災害とかが日本でも最近頻発している中で、改めて社会インフラの整備のため、強化のために、コンクリートの果たす役割は非常にこれからもますます大きくなってきていると思います。
高木社長が考える理想の健全な労使関係というのはどういうものでしょうか。
これはなかなか難しい、ストレートな質問です。
弊社のことを言えば、また、個人的な私自身の考え方を言えば、うちの会社なんかは健全な労使関係という言葉が似合わないぐらい小さい会社です。基本的には、いま世の中自体が働き方改革というキャッチコピーで、それぞれの立場で議論される時代ですから、その意味ではやはり、働く人も経営側も、やはり常に対話とお互いが相手の立場に立ち、議論し、協調していくという、こういうことが一番大切なことだと思います。
混和剤を取り扱う会社として、今後1年の展望は、どのようになっていくと思われますか。
基本的には、コンクリート混和剤を通して、また混和剤の販売を通して、弊社としても、お客様であるひとつひとつの生コン会社、あるいは工場の方々と、そして同時に、業界に少なからず貢献できるように日々精進していくという考え方です。
実は、今回このインタビューをするにあたって生コン業界のことを調べていましたら、業界が、ある一部の労働組合と対立しているのかなという、そういう印象を受けました。高木社長から見て今回の騒動をどう思われますか。
私として、というか弊社としては、やはりお客様である生コン会社およびその業界が、いつの時代も健全なる成長と発展をしてくれることをいつも願っている立場です。ですから、いまのお話のように変な闘争とかいうことではない、労使ともに話し合いとか、最後は協調できるような、そういう関係であり続けていただきたいと思っています。
いま一部の労働組合との付き合いを切っていこうという流れで、関西、大阪広域、皆さん一致団結してやっているその動きというのも、業界自体が良くなるのであれば、それはそうすべき、当然のことだと高木社長も思われますか。
これは、非常に慎重に発言しなければいけないところです。混和剤の販売店としては、それぞれの立場が正しく、それぞれが悪くてということを発言し表現するということについては、基本的には慎重であるべきだと思います。
ただし同時に、生コンクリート協同組合が、いつも協調と連帯のなかで、より前進し発展してくれることを願っているということは間違いないです。
「結」という業界誌を出そうということで、その創刊号に向けてのメッセージをいただけますでしょうか。
業界誌「結」が混和剤業界の、あるいは協同組合の中の一翼を担って、そして果たすべき役割と責任を行使して、結果として生コンクリート協同組合がより前進していかれることを、私の立場でも応援したいと思っております。
三協ミライ株式会社取締役、高木社長にお話を伺いました。ありがとうございました。
ありがとうございました。