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近畿生コン関連協議会

インタビュー・対談

生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。

生の声から、生コン業界動向や気づきを読み取る。

  1. 大阪広域輸送協同組合 浦野 正国 理事長

2018.06.25

大阪広域輸送協同組合 浦野 正国 理事長

対話ができる労使関係づくりで賃金や労働環境を整備し、安定経営で若者が安心して入れる輸送業界に。荷主さんは安定供給を。

浦野 正国(うらの まさくに)
大阪広域輸送協同組合理事長
株式会社浦野運輸

他業界と手を結び、未来へ

新たに結束して立ち上げた協組

大阪広域輸送協同組合、浦野理事長にお話を伺います。どうぞ、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

大阪広域輸送協同組合は、生コンを輸送する事業者団体ということですが、エリアではどの辺りまでカバーしておられるのでしょうか。

我々の荷主さんである大阪広域生コンクリート協同組合で、生コン製造をしている範囲をカバーできるようにと考えております。とても広いエリアです。

大阪と兵庫、最近は淡路島方面まで大阪広域生コンクリート協同組合が広がっておられますから。

いつ設立されたのですか?

うちの協同組合は、まだ発足して間もない協組でございまして、登記が去年の11月です。事務所は出来立てですし、事務員も手探りの状態の中で運営させてもらっています。

この輸送業界の中では新しい動きということですよね。

そうです。

ほかにも輸送協同組合はあったと思うんですけど、なぜこのタイミングで新しく立ち上げることになったのでしょうか。

その一番の理由としては、私たちが協同組合を発足させるより前に、既存の大きな輸送協同組合がすでに発足されていました。しかしながら、そこの協同組合の運営には少々違和感がありました。それはどういうことかと言いますと、一部の労働組合の影響が非常に強いという点です。労働組合と申しましても、いろいろな労働組合がありますが、一部のちょっと考えの偏った労働組合があり、その労働組合のやり方に異論を唱えるものが数社ございまして、その数社が新たに結束して立ち上げたのが、今の我々の協同組合であるということです。

なるほど。私もいろいろな方に今回お話を聞いてきましたが、そういう一部の労働組合との付き合い方について、どの団体も見直す必要があるという姿勢に変わってきていると感じました。やはり一部の労働組合の圧力に屈してきた歴史が長かったのかなと思うのですが、もうその辺はバッサリといこうと、浦野理事長はお考えですか。

我々の協同組合は、特にそういった事業者にとって不要なしがらみがない、関わりをもたない者同士が集まって立ち上げた協同組合です。

健全な労使関係とは?

浦野理事長が考える経営側と労働組合の健全な労使関係とは、どのようなものでしょう。

私が考える健全な労使関係というのは、まず第一に労使の信頼関係の中で対話ができるという関係にあること。これがやはり一番だと思うんです。どうして私がこれを言うかと申しますと、ある一部の労働組合は対話ができない。正常な話ができない。過去にそういった例がたくさんあります。やはり対話ができず、一方的に要求だけを押し付けてくる労働組合を警戒する会社は、たくさんあるわけです。

一部の労働組合。そこは、やはり経営側としても頭を悩ませてきたところなのですね。

そうです。同じ生コン輸送の事業者たちは、協同組合を一本化しようと努力しました。しかし、一本化になる最大の障害が、一部の労働組合の影響だったわけです。

従来あった協同組合とは別の協同組合でということになったわけですが、協同組合間のトラブルで分裂したとかそういうわけではないですよね。

そうです。当初、私どもの協同組合は15社で発足しました。既存協組の近畿生コン輸送協同組合は80社以上で組織されていた。そこに我々が合流するという方式で一本化しようという動きがありました。数度にわたって一本化しようと試みましたが、一部の労働組合の妨害もあって実現しませんでした。

では、時間がかかるかもしれないけど、どちらの輸送協同組合も、一部の労働組合の問題という障害がクリアになったら、今後、一本化になる可能性もありますか。

そうですね。その可能性はもちろんございます。

浦野理事長から見て、今の輸送業の状況として輸送の稼働率の問題などがあるかと思いますが。

最近の動きとしましては、やっぱり年々、荷主である生コン工場の出荷量も減少傾向ですから、輸送効率の見直しであるとか、適正人員の確保とか、その辺の諸問題をたくさん抱えているわけです。これらの問題を解決していくにあたって、荷主さんとの対話とか健全な労使関係とか、そういったところの話し合いが今後、密に必要になってくるかなと考えている次第です。

ロボットが運ぶわけではないですから、やはり人が運ばないといけないということで、人材の確保というのはすごく大切であるということですね。

そうですね。

この業界に限らず、飲食業にしろ、サービス業にしろ、そうだと思うのですが、やはり人材不足というのが今、叫ばれている時代だと思うんです。

輸送業界の中で人が集まるような工夫や対策など、考えていらっしゃいますか。

我々も協同組合の中で、それらの対策について議論しています。魅力のある業界を目指さないといけないだろうと。どういうことかというと、やはりプライドを持って、若い人たちに安心して入っていただける輸送業界にしていかなくてはならないだろう。そのためには、単価的な問題とか、労働環境とか、その辺の整備はやはりやっていかなければならないだろうと。そこを優先して取り組んでいかなければならないだろうと、そう考えます。

業界としてすごく魅力的なものになっていけば、新規入職はあり得るのですか。

当然、新規入職もございますが、我々が考えるのは既存の業者がたくさんあるわけです。その中で数量の調整であるとか、やはり我々は協同組合ですから、相互扶助の精神でやらなければいけないわけで、既存の業者がやはり潤っていないと。要するに、条件面で高い低いがあってはいけないわけです。そこの安定化を、まずは第一に目指しています。

今いる会社のところで、しっかり価格もきっちり決めてということですね。

そういうことですね。まずは第一に安定ということです。

輸送業からすると、安定ということは、やはりちゃんと運ぶということですよね。

はい。もちろん安定供給、荷主さんに対して安心して使っていただけるような安定供給をまずは第一にすると。なおかつ、我々も安定して運転手を養っていけるような環境を整備すると。そういう形ですよね。これがやはり一番の理想です。

今、人材育成の話も出てきましたが、世代的にはどうですか。若手労働者の入職はありますか。

現実的には難しいです。やはり運送業界全体の問題だと思いますが、ドライバーの高齢化は深刻な問題になっています。うちの会社でも高齢、定年前と言われる年齢層が半分ぐらいを占めていますので、やはり若手の育成、若手の人材確保がこれからのキーポイントになってくるだろうと思います。

そこは協同組合、いろいろな会社が集まって、みんなで知恵を出し合って業界を盛り上げていくということですね。

そういうことですよね。

このインタビューは「結」という業界誌を創ろうという企画から始まったものなのですが。その創刊号ということで、浦野理事長にもお話を伺っているのですが、一言メッセージをいただけるとうれしいのですが。

そうですね。今までになかった初めての取り組みで、我々も大変期待しています。輸送業者と製造業者は今まで、調整がうまくいかなかったことが大きかったと思います。今回、こういった機会を与えていただいて、そこは上手に我々も考えてやっていけたらなと。大変ありがたい取り組みですし、その「結」という言葉のように、手と手を結ぶという意味もあるとは思うんですけれども。

そうですよね。なかなか立場の違う人の話を聞く機会もあまりないかもしれないですし、この雑誌を通して、「ああ、この人、こういうこと考えているんだ」ということをお伝えできればと思っています。

そういった協力体制をとれればなと。その辺を期待して考えております。

大阪広域輸送協同組合の浦野理事長にお話を伺いました。ありがとうございました。

ありがとうございました。

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