KURS(コース) /
近畿生コン関連協議会

独占連載「偽装労組」

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

  1. Vol.4 湖東協組事件のてん末

2019.10.16

Vol.4 湖東協組事件のてん末

fake_labor_union_Vol4

「ひと月に13日間、2ケ月で26日間は働けば職業安定所から、雇用保険で1日7,500円もらえた。それがいまは3か月で仕事は10日程しかない。条件を満たさないので、その7,500円がもらえない。食べていけないので、関生支部を辞めた」。
「連帯ユニオン関西生コン支部」所属の日々雇用の労働組合「朝日分会」を脱退した労働者は、こう嘆き、つぶやいた。
その連帯ユニオン関西生コン支部の現状について、同支部の元幹部は、こう説明する。
「1980年代、関西生コン支部には組合員が3,000人いた。それがいまでは100人を大きく割り込み、数十人しかいない。今度の事件を契機にして業界そのものから引退する一方、他の生コン会社に転職するため、ボロボロ辞めていく。このままでは関生支部は壊滅します。人がいないので『弾圧反対集会』なんかすべて全港湾労組が中心になってやってます」。

2018年夏から始まった警察の関西生コン支部の組織ぐるみの犯罪行為摘発をうけて、関西生コン支部は消滅の危機に瀕している。
その引きがねを自ら引いた同労組トップの武建一被告らによる準大手ゼネコン「フジタ」グループの専門商社「藤田商事(株)」(東京都文京区)大阪支店長に対する恐喝未遂事件の顛末について前回に続いてレポートする。

「滋賀だけでは済まないかもしれませんよ」

2017年3月21、22日の両日、関西生コン支部組合員からチェリオコーポレーション第二期工事・倉庫棟(滋賀県東近江市)の建設工事に対する嫌がらせを受けたフジタ大阪支店は、本件工事に係る生コンの仕入れ先をダイセイから湖東協組に変更することを検討し、同日、藤田商事支店長が近江アサノコンクリート営業部長の平元良治被告に電話で、こう尋ねた。

「近江アサノコンクリートと本件工事に係る契約締結をする代わりに関生支部による嫌がらせを止めさせることができますか」。

平元営業部長は、この電話の内容を同社代表取締役の金子寿男被告、「湖東協組」運営委員長の朝夷健治被告を介して「関生支部」執行委員の城野正浩被告に確認。これに対して、城野被告は、こう答えた。

「(妨害を止めるためには)藤田商事大阪支店が本件工事に係る生コン供給契約を締結するとともに、フジタ大阪支店が関生支部の活動に賛同する旨の書面を作成することを要求しろ」。

そこで、平元被告は、藤田商事大阪支店長に対して、嫌がらせを中止する条件として、書面の作成と生コン供給契約の締結を電話で伝えた。

さらに、城野被告は、湖東協組副理事長の北川義博被告に対して、こう指示した。

「再度、藤田商事大阪支店を訪問して契約締結を要求すること。もし、契約を断れば、『滋賀だけではすまない、大阪でも何かあるかもしれない』と言え」。

この指示を受けた北川被告は、同年3月23日、藤田商事大阪支店を訪れ、書面作成と生コン供給契約の締結に難色を示した同社大阪支店長に対して「滋賀だけでは済まないかもしれませんよ」「大阪でもなにかあるかもしれませんよ」などと、脅した。城野被告は、北川被告からその結果報告を受けると、「自分たち動く」などと言って、同月25日以降、関生支部労組員が倉庫棟工事現場で嫌がらせ行為に及んだ。

アサノコンクリート株式会社

近江アサノコンクリート株式会社(同社ホームページより)。

関連業者、親会社、ビラ…、契約確保に手段選ばず

そして、関生支部の松尾鉱輔被告は、工事現場にポンプ車を供給していた「(株)第一圧送」(滋賀県草津市)の社長らに対し、「工事現場にはアウト業者が生コンを納入しているので阻止したい」と述べ、ポンプ車の供給中止を要求。その後、城野被告も同社長に電話し、「松尾から聞いてるか」などと、ポンプ車の供給中止を要求。このため第一圧送はポンプ車の供給を止めた。

また、城野被告は同月行われた湖東協組との情報交換会の場で、朝夷被告、北川被告、湖東協組理事長の奥宗樹被告に対して、関生支部によるフジタへの妨害行為やポンプ車の供給ストップしたことなど、妨害行為の状況を報告。書面作成や供給契約のために、フジタの親会社である「大和ハウス工業(株)」(大阪府大阪市)に妨害を行うことで同社からフジタ大阪支店に働きかけを行わせるのが効果的だが、まだ、そこまで行っていないなどと説明。その結果、フジタ大阪支店が窮地に追い込まれ、工事途中からでも契約ができる見込みがあることを説明した。

その後、フジタが兵庫県内の圧送業者からポンプ車の供給を受け入れはじめたことから、関生支部副委員長で京都・滋賀の連帯ユニオンの指導責任者だった湯川祐司被告は、2017年4月29日、その兵庫県の圧送会社社長に電話し、「本件工事現場はアウトを使っているが、我々は生コンの値崩れが起きないように組合の生コンを使ってもらうようにしている。ポンプ車の供給が止まればフジタ大阪支店もその要求を受け入れてくれる」と述べて、工事現場へのポンプ車供給の中止を要求した。しかし、圧送業者が応じなかったため、供給を止めることはできなかった。

一方、城野被告は同月25日、フジタの親会社である大和ハウス工業を訪問し、同社職員に、フジタ施工の現場でコンプライアンス違反が繰り返されていると記載したビラを示した上、「ある団体がこのビラを明日、明後日にでも撒こうとしている。私が話をしにいくということで、ビラを撒くのを止めてもらっている。チェリオコーポレーションの倉庫工事の件について、フジタから生コン販売店に連絡するよう伝えてほしい。そうすればビラを撒かれなくてすむ」と伝えた。

その後も、フジタが近江アサノコンクリートとの契約に応じることはなかった。このため、同年5月以降、関生支部の労組員がフジタ大阪支店前の路上で、通行人に「フジタ施工の現場、汚泥が道路に散乱している!」などと記載したビラを配った。そして、同年6月、武被告は朝夷、北川、奥の3被告と会食した際、朝夷被告から、改めて本件工事に係る生コン供給契約の獲得を依頼されたことに対して、これを了承するとともに、城野被告に動いてもらっていることや同被告がフジタの親会社である大和ハウス工業にまで行っていることなどと述べた。

その後、同年7月3日にも、関生支部の労組員が、本件工事現場に赴き、嫌がらせを行ったが、フジタ大阪支店が近江アサノコンクリートとの契約に応じなかったため、事件は未遂に終わった。

しかしフジタ大阪支店長は、関生支部労組員からの様々な嫌がらせが続くことに耐えかね、同年8月、取引関係にあった大阪の生コン協同組合の役員を通じて、武被告に対し、次の工事から価格面で折り合いが付けば湖東協組から生コンを仕入れることを検討すること、本件について警察に被害届を出さないことを条件に、関生支部労組員による嫌がらせを止めてほしい旨、申し入れた。それに対して、武被告は、これを受け入れる旨を述べ、本件工事現場やフジタ大阪支店に対する関生支部労組員による嫌がらせは一切なくなった。

次回は、滋賀県内で摘発された別の事件を紹介したい。

※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名について、2回目以降の(株)表記を省略しています。

協賛団体

PAGE TOP