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近畿生コン関連協議会

独占連載「偽装労組」

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

  1. Vol.28 セメント出荷妨害事件で初の有罪判決2

2020.10.31

Vol.28 セメント出荷妨害事件で初の有罪判決2

セメント出荷妨害事件で、連帯ユニオン関西生コン支部(武建一委員長、以下、関生支部)の西山直洋執行委員・争議対策部長(以下、西山被告)、柳充元副委員長(以下、柳被告)の一審判決が、去る10月8日大阪地裁で言い渡され、両名とも懲役2年6月、執行猶予5年の判決が下されたことを前号(vol.27)でお伝えしたが、今回から判決の詳細をあきらかにしていきたい。

関生側は<違法性なし>と主張

セメント出荷妨害事件で両被告の弁護人は、➀関生支部組合員らの行為は威力業務妨害罪の構成要件に該当しない、➁被告人両名と分離(裁判)前の武建一被告及び関生支部組合員との間に、威力業務妨害罪の共謀はなかった、➂仮に威力業務妨害罪が成立するとしても、刑法35条、労働組合法1条2項に該当する行為であり、違法性はない――と主張した。➂でいうところの刑法35条は「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と規定。労働組合法第1条1項は、労働組合の団体交渉その他の行為で、「労働者の地位向上、労働条件について交渉するため、労働組合を結成し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続きを助成することを目的とする」と規定している。

労働組合法は<暴力行使>を認めず

同条第2項はこの規定をふまえて、「刑法35条の規定は労働組合の団体交渉その他の行為であって前項(労働組合法第1条第1項)に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない」と定めている。

一審判決は、逮捕・起訴事実である<威力業務妨害罪>の構成要件の妥当性についてこう判断している。「威力を用いて業務を妨害する行為」とは、「行為の態様、行為当時の状況、業務の種類等を踏まえて、一般人であれば心理的な威圧感を覚え、円滑な業務の遂行が困難になるような行為を意味すると解される」。そうして、以下、セメント出荷妨害事件で起きた事実について、その態様を詳細に提示している。

SSでの<威力業務妨害>の実態

まず、第一の事件である「大阪港サービスステーション(SS)の件。関生支部組合員らは、SSの北側出入口付近に集合し、平成29(2017)年12月12日は、午前6時48分頃から午後9時38分頃まで約15時間、同月13日は午前6時53分頃から午後4時8分頃まで約9時間、バラセメント車の前方に立ちはだかったり、取り囲んだりするなどして走行を物理的に妨げ、バラセメント車は道路上に停車せざるを得なくさせた。その結果、<(株)植田組運送店>(以降、植田組)及び<ダイワN通商(株)>(以降、ダイワN通商)のバラセメント車は、SSへの出入りが妨げられた。しかも、出荷妨害は多数の関生支部組合員らによって一斉におこなわれるとともに、大声で乱暴な言動を伴うものであったことから、心理的な意味においても、植田組及びダイワN通商のバラセメント輸送業務を強烈に阻害したものと、認められる――」と、認定。そうして、「関生支部組合員らの行為は、人の自由意思を制圧するに足りる勢力を十分に備えていると認められるから、これが威力業務妨害罪における<威力>に該当することはあきらかである」と断定。さらに、SSに入出場しようとしていた植田組及びダイワN通商のバラセメント車は、関生支部組合員らの<行為>で、実際に、SSに出入することができなくなったり、迂回輸送を行うことになったわけだから、行為の態様、行為当時の状況、業務の種類等を踏まえれば、関生支部組合員の行為が、威力を用いて植田組及びダイワN通商のバラセメント車の輸送業務を妨害した<行為>に該当することは明かである、としている。

関生支部組合員に、バラセメント輸送業務を妨害されたダイワN通商(株)高槻工場の外観(写真上下)。
関生支部組合員に、バラセメント輸送業務を妨害されたダイワN通商(株)高槻工場の外観(写真上下)。

関生支部組合員に、バラセメント輸送業務を妨害されたダイワN通商(株)高槻工場の外観(写真上下)。

関生組合員による妨害行為は明白

一方、判決は関生支部の弁護人らが、<行為>は「バラセメント車の運転手に対して組合活動に協力するよう求めた説得活動にすぎない」と主張していことについて、こう反論している。「たしかに、SSに集まった関生支部組合員らは、当初、バラセメントの運転手に対し、ストライキに協力するようにと声かけやビラ配りを行っている。しかし、他方で、同組合員らはバラセメント車の走行を物理的、心理的に妨げる<行為>に及んだほか、そもそも運転手に声かけすることなく、ひたすらSSへの入出場を阻む行動を繰り返していたことに照らせば、関生支部組合員らの<行為>が説得活動にすぎないとはおよそ認め難い。また、仮に真に説得の目的があったとしても、行為態様を見れば、説得の態様限度を大きく超えたものと認められる。従って、弁護人らの主張は採用できない」としている。

次回も引き続き「セメント出荷妨害事件で初の有罪判決」の詳細を紹介する。

※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。

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