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KURSレポート

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  1. 目指せ、ワンランク上のドライバー!<安全対策講習会Vol.6>開催!

2025.12.22

目指せ、ワンランク上のドライバー!<安全対策講習会Vol.6>開催!

生コンワーカーの新拠点<テクノ・ラボ大阪>ホールには、300名を超える参加者が集まった。

<KURS・KLWS>と<輸送協>の初コラボ企画として実現した、初めて尽くしの6回目

2025年11月16日、大阪広域生コンクリート協同組合(以下、広域協組)<テクノ・ラボ大阪>において<安全対策講習会Vol.6>が開催。今回も休日の朝にも関わらず<ワンランク上のドライバー>を目指して、また自らの技術や知識のおさらいを目的に、300名を超える生コン車ドライバーや関係者が集結した。

今回は主催者、会場、講演内容と初めて尽くしの講習会だ。

まず主催者が、これまでのように労組単独ではなく、初の試みとして<近畿生コン関連協議会(以下、KURS)・関西労供労組協議会(以下、KLWS)>と<関西広域輸送協同組合(以下、輸送協)>との共催となった(協賛/一般社団法人西日本建設関連オーナー会(以下、オーナー会)・広域協組・大阪兵庫生コンクリート工業組合(以下、大阪兵庫工組))。また会場がこれまでの、エル・おおさか(大阪府立労働センター)から、広域協組の協力により、我々生コンワーカーの新拠点<テクノ・ラボ大阪>ホールでの開催となった。

そして内容については、ドライバー側の視点だけでなく生コン技術者の視点(大阪兵庫工組)、法的な視点(輸送協)、さらに生コン車を製造するメーカーからの視点ということで新明和工業株式会社(本社/兵庫県宝塚市)からも講師をお招きし、品質・車両・輸送・法令と<生コン輸送の安心安全を多角的に学ぶ>画期的な試みとなっている。生コン輸送も<ただ運べばいい>時代はすでに終わっている。もちろん安全輸送はいちばん大切だが、交通安全・安全作業だけでなく輸送を多角的に見ることで、文字通り<ワンランク上の生コン車ドライバーを目指す>ための第一歩にしてほしいという意図だ。この取り組みは、業界内からも注目されており、この日は業界紙2社からの取材陣も入った。

講習会は、輸送協事務局長の富永均氏の司会進行でスタート。富永氏は今回、司会だけでなく、自ら登壇し講習も行うという八面六臂の活躍だ。

今回は、<テクノ・ラボ大阪>で開催する記念すべき講習会であるため、開会にあたって行われた、協賛・主催各団体代表の挨拶を、一部抜粋・編集して紹介しておきたい。

オーナー会顧問・木村貴洋氏の挨拶

木村氏は、まず広域協組の成り立ちから、KURS・KLWS、輸送協との団結、そして今回の会場にもなっている<テクノ・ラボ大阪>建設に至った業界発展の経緯を紹介、その裏には「協同組合加盟各社の価格上昇と、今日お集まりの皆さんの協力で、現場へのスムースな輸送が確立できたことには、心から感謝しております」と述べ、講習にあたっては、「皆さんが使っている生コン車やバラ車、これがどういう構造になっているのか説明してもらいます。また、昨今の建物は超高層が多い。生コンクリートの量は減っているが高価になり、品質も非常に多様化している。そんな状況の中で、6回目の安全対策講習会が開催されるということで、品質もしっかり勉強していただきたい」。そして年末年始が始まる前ということで「協同組合、工業組合、オーナー会は<労災事故ゼロ・交通事故ゼロ>これが大きなテーマ。これらについてゼロを実現していただきたい。我々、協同組合、工業組合、オーナー会は、毎日(皆さんが)生コン車・バラ車を運転して(商品を)納入していただくことに関しては、全経営者が感謝していることだけは、常に意識していただきたいと思います。我々の発展は、皆様と共に発展していくということを申し上げて、私の挨拶とします。頑張ってください!」と、参加者へのエールで締めくくった。

挨拶を行うオーナー会顧問の木村貴洋氏。

挨拶を行うオーナー会顧問の木村貴洋氏。

輸送協理事長・江川茂男氏の挨拶

江川氏は、主催者側を代表して協賛3団体へのお礼に続き、今回特別に協力をいただいた、新明和工業(株)に対する感謝の言葉を述べた。

挨拶では「我々、輸送業を取り巻く環境はここ数年で大きく変化しています。働き方改革による時間の規制、燃料や車両の高騰、人手不足の深刻化など苦しい状況に置かれています。そのような状況下でも、私たちにが絶対に優先しなければならないもの、それが安全です。(本日)私たちがこの講習会を通して、皆さんに、現場で実践できる内容を、分かりやすくお話ししたいと思います。ぜひ積極的に学び、質疑応答などで、積極的にご意見をいただければと思います。最後に、私たち輸送事業者の根本は<安全に運び、安全に帰る>ことです。本日参加の皆様の、今後の業務における安全を、お祈り申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします」と、業界を取り巻く厳しい状況を踏まえつつ積極的な学びを訴え、挨拶をまとめた。

挨拶を行う輸送協理事長の江川茂男氏。

挨拶を行う輸送協理事長の江川茂男氏。

KURS議長・寺岡正幸氏の挨拶

労組側からKURS(近畿生コン関連協議会)、KLWS(関西労供労組協議会)を代表して、KURS議長の寺岡正幸氏が挨拶を行った。

寺岡氏は、参加者、協賛団体への感謝を述べ「安全対策講習会の初期の段階では、労働者の社会的地位向上のため、質の良い労働力を提供するには、いかに付加価値をつけるか、徒手空拳(後ろ盾がない)状態でした。その後、オーナー会にご意見ご協力をいただき、徐々に充実してまいりましたが、いかんせん労働組合目線の講習会でした。しかし今回は、広域輸送協とのコラボという形での開催です。100名規模の講習会だったのが、本日は300名を超えオーナー会、広域協組、大阪兵庫工組、新明和工業(株)のご協力のもと、中身の濃い講習会となっております。そして報道関係者の方々もみえておられます。感謝の念に耐えません。本日お集まりの生コン車ドライバーの皆さんが、より一層見識を高め、プライドを持って日々仕事をされることを祈念し、そして事業者の皆様に対しましては、今後とも業界安定のため尽力してまいりますので、業界の益々の発展と、労働者の生活安定のための雇用が維持向上することを祈念いたしまして、私の挨拶に代えさせていただきます。本日はご参集、誠にありがとうございます」と、これまでの講習会の経緯を振り返り、今回の開催に対する感謝を伝えながら挨拶を終えた。

挨拶を行うKURS議長の寺岡正幸氏。

挨拶を行うKURS議長の寺岡正幸氏。

4つの視点で<安心安全>を学ぶ、全国初の取り組み

講演内容は、動画で確認いただいた方が分かりやすいと思うので、各講師の動画(それぞれ20分程度)をご覧いただきたい。トップバッターは、大阪兵庫工組常務理事の栗延正成氏だ。

◎広域協組 常務理事 栗延正成氏 演題<生コンクリートの品質等の基礎知識>

栗延氏の講習は、生コンクリートの品質の高さを左右する材料の話が中心だ。参加者のなかには、自分は関係ない、製造部門が考えればいいという人がいるかもしれないが、それは大きな間違いだ。生コンクリートは<生モノ>だ。そして生コン車ドライバ―はプロの運び手。自らの技術や知識をもって、商品の安定した品質をキープしながら現場まで届けるのが仕事だ。「品質のことは知らない」では済まされない。そのためには、自分の運ぶ生コンクリートの<素性(すじょう)>を知らなければならないのだ。つまり生コンクリートの材料にはどのような種類があって、それがどのような役割を果たす材料か、程度のことは知っておいて欲しいということだ。

このことは、生コン車ドライバ―が単なるドライバーではなく、各プラントやひいてはこの業界を代表して、お客様に直接、生コンクリートという商品を納品する<営業担当者>という意味なのだ。種類はそんなに多くはないし、よく耳にする材料なので、ぜひ覚えておいてほしい。


●動画サイト

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◎新明和工業(株)右近哲郎氏 演題<アジテーターミキサー車の仕組み>

新明和工業(株)右近氏の講習内容は、ズバリはミキサー車(以下、生コン車)の仕組みと安全に関する話だ。生コン車は我々の相棒と言える。構造や機構を知ることでも、事故やトラブルのリスクを減らすことができるのだ。

右近氏は、生コン車の各部の構造に関する詳しい説明や注意点、メンテナンスに関する情報などについて説明。またエンジンやポンプなどの故障で、ドラムが停止してしまった場合の対応や<緊急排出方法>など、貴重なノウハウもうかがうことができた。また、オプション対応になるが、生コン車側から走行時の安心安全を確保する安全装置や機構、回路変更など、少しでも事故やトラブルを減らす工夫について提案をいただいた。プラント責任者や経営者に意見を求められた際、参考として伝えることで少しでもリスクを減らすことができるはずだ。

最後に右近氏は、<4M変更(4M変化点管理)>というメーカー独自の品質管理方法について語ってくれた。4つのMはMan(人)・Method(方法)・Machine(機械)・Material(材料)の4つの視点で変更があった場合、事故等が起こりやすい。この4つの視点で工程を見直すことで、トラブルを回避するという考え方だ。これこそ今回の講習会を象徴する考え方ではないだろうか。もちろん、生コンワークにも当てはめることができる。

いずれにしても、普段はなかなか聞くことのできない、メーカー側からの貴重な情報を得ることができた。


●動画サイト

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◎KURS事務局次長 木村敦豪氏 演題<生コンワーカーの安全対策>

木村氏からは、<安心安全>の基本としてとても重要な<生コンワーカーの安全対策>だ。KURS・KLWSが組合員に配っている【生コンワーカーの実務】という冊子の内容の短縮版となっている。

これまで5回にわたって講習会で学んできた内容だが、KURS・KLWSの組合員には<耳にタコ>と言われようが、事故やトラブルの回避にいちばん重要なポイントばかりだ。ハインリッヒの法則(1の重大災害の下には、29の軽症事故があり、その下には300の無傷事故がある)から、飲酒や睡眠など日常生活での注意、服装の注意、作業上の注意、事故にいちばんつながりやすい運転上の注意から事故回避のノウハウまで、木村氏はショートバージョンでも大事なことがしっかりと伝わるように、厳選した内容を語ってくれた。

また木村氏は、KURS・KLWSがインターネット上で企画運営しているWebサイト<結>や、YouTube上に掲載されている動画<新人研修用ビデオマニュアル>を紹介。結チャンネルへの登録も促してくれた。


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◎輸送協事務局長 富永均氏 演題<生コン輸送に関わる法的問題>

輸送協事務局長の富永氏の講習内容は、これまでは無かった<法的問題>という全く新しい切り口のテーマだ。

冨永氏は、❶事故発生時の法的責任と対応・➋職場におけるハラスメント防止・❸現場での撮影行為に伴うリスク、という3つのテーマで講習を行った。<法的問題>というこれまで講習会では取り上げられなかった新しい切り口のテーマだ。

まず輸送中の事故については、事故後の初動<通報・報告・現場の安全確保>が評価されるため、とにかくこれらを徹底することが重要と語った。

またハラスメントについては、侮辱・怒鳴りなどの威圧的行動等は最高裁で違法行為と判断されており、被害者の心身への悪影響はもとより、職場の士気低下や企業の信頼失墜、離職率の上昇など経営にも悪影響を及ぼす。見たり受けたりした場合は、ぜひとも協組・労組に相談してほしい。

そして現場での無断撮影とSNS投稿については、機密情報漏洩・プライバシー侵害などで訴えられることがある。たまたま工場内部を撮影・投稿してしまった写真が、企業情報漏洩で訴えられ、懲戒処分が下ったなどの事例がある。本人に悪気がなくても罰せられることがあるため、撮影は元より疑われるような行動も含めて自粛してほしい。

なかでも3つ目の現場撮影・投稿については、近年いろんな業界で増えているリスクだ。建設現場に生コンを納入するドライバーには起こりうるリスクであるため、特に注意してほしい。輸送協でもポスターをつくって啓発活動を行っていることを訴え、講習を終えた。


●動画サイト

登壇者に対して質問を行う、KURS事務局長の岡元貞道氏。

登壇者に対して質問を行う、KURS事務局長の岡元貞道氏。

閉会の挨拶

閉会の挨拶は、KURS副議長の本多裕重氏から行われた。

「今日は4名の講師の方に講習をしていただきましたが、この4つの項目について皆さんの心の中に、少しでも入れていただくことが重要です。我々、人間は少し慣れてくると「大丈夫やろ…」という<油断>の気持ちが高まってくる。しかし<少し注意する><周りに配慮する>ことで、安全な作業が身につきます。ここをサボらずにいくことがすごく重要。少しでも今日の講習が、皆さんの安全な仕事につながるよう期待します。また今年は阪神淡路大震災から30年。我々が運んでいる生コンクリートによって、大きく復興が進んでいます。皆さんの住んでいる所にも、必ず生コンという基礎資材が使われております。この生コンクリートを我々が運ぶということに、皆さんが<誇りと自信を持って><安全に働いてくれる>ことをお願いいたしまして、最後の挨拶とさせていただきます。共に頑張っていきましょう!」。本多氏は、生コンワーカーのプライドと安全を願いながら、挨拶の言葉を結んだ。

挨拶を行うKURS副議長の本多裕重氏。

挨拶を行うKURS副議長の本多裕重氏。

もはや交通安全・安全作業だけで<生コン輸送の安心安全>を語る時代ではない

今回の講習を通して明らかになったことは、<安心安全>の基準や範囲が広がっているということだ。もちろん交通安全や安全作業は基本ではあるが、もはやそれだけで<生コン輸送の安心安全>を語る時代ではない。生コンクリートの製造技術や車両の進化、また時代の流れと共に<安心安全>の基準や範囲も変わる。それにあわせて生コンワーカーに求められる資質も変化するということだ。ただ「納品して終わり」ではなく、常に世の中の状況や業界の情報に敏感であること、リスクを想像することも、生コンワーカーの重要な資質になるのではないだろうか。もちろんドライバーだけの話ではない。

新明和工業の右近氏が最後に語ってくれた<4M変更>ではないが、これからの<生コン輸送の安心安全>は、交通安全・安全作業だけでなく、複数の視点で考える必要があるのではないだろうか。

今回の講習会を機に、KURS・KLWSも時代に遅れを取らないように、毎回とはいかないかもしれないが、これからもこのような複眼的な講習会を開催していきたい。

最終的には、補助席を出すほどの盛況となった。

最終的には、補助席を出すほどの盛況となった。


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