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生コン業界の仕事や暮らしに役立つ情報をくわしく。
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2026.03.18
<テクノラボ・大阪>内の会議室において<2026年春闘>の第一回目集合交渉が行われた。
2026年3月4日、大阪広域生コンクリート協同組合(以下、大阪広域協組)の<テクノラボ・大阪>会議室において、近畿生コン関連協議会(以下、KURS)・関西労供労組協議会(以下、KLWS)代表交渉団と一般社団法人西日本建設関連オーナー会(以下、オーナー会)の<2026年度春闘集合交渉(以下、'26春闘)>がスタートした。
思い起こせば、2018年1月のKURS発足以来続く、オーナー会との集団的労使関係確立から8年。昨年からはKLWSも、KURSと同様に集団的労使関係が確立されている。
産業別労働組合であるKURS・KLWSは、常に<業界の持続的発展>を目指し、オーナー会とは普段から何事も話し合いで紳士的に決めてきた関係だ。もちろん春闘についても同じ。ところがやはり春闘となると、労組側も経営者側も、お互いの今後の生活や労働環境に影響が出ることから、普段通りの和やかな表情の中にも、お互いの思いや事情が見え隠れする。
いま世界情勢は混迷を極め、米国トランプ大統領による関税政策、また終わりが見えないウクライナ戦争や、喫緊では米国とイスラエルの両国によるイランへの攻撃に端を発した紛争などの影響を受け、日本国内では物価高騰に拍車がかかる勢いだ。KURS・KLWS組合員の生活も、この何年かはたいへん厳しいものとなっており、長引く苦況に我慢も限界に近づいている。
今春闘の結果に期待を寄せる、約1,200人の生コンワーカーの暮らしに<春>は訪れるのか、オーナー会の判断に期待がかかる。第1回目の今日は、労組側からの<'26春闘統一要求書>に記された要求に対して、趣旨説明を行われる。まずは労使双方の挨拶等から、交渉初日の感触を読み取っていただきたい。
第一回目の集合交渉は、KURS事務局次長の藤川拓氏の進行で幕を開けた。
「要求内容は賃上げを中心に、制度政策要求、安全対策、人手不足、人材確保、担い手対策と多岐にわたるため、この後、KURSの岡元(貞道)事務局長から趣旨説明がありますが、私たちとしてはオーナー会との協議でまとめられた内容をひとつのガイドラインとして、<この業界を良くして行きたい>という思いはこれからも変わりませんので、ぜひ前向きに検討していただきたい」。藤川氏は、短い挨拶の中でKURS・KLWSの共通の思いを伝え、各議長の挨拶へとつないだ。
司会進行を務めた、KURSの藤川拓事務局次長。
最初の挨拶は、KURS議長の寺岡正幸氏が行った。
寺岡議長からは、オーナー会側から違和感を持たれる<春闘>という言葉について、労使による捉え方の違い、呼び名の違い等を紹介しつつ、「かつては、交渉が決裂するとストライキも辞さないという強硬な組織もありました。そんな過去のネガティブなイメージから<闘う>というイメージが強かったと思いますが、現代では<労使が歩み寄り、落とし所を探る交渉>という考えが主流で、今では全国で同時期に行われる交渉という意味で<春闘>が使われています。2026年1月23日に行われた<大阪政労使会議>では労働界、経済界、行政などが擦り合わせを行い、共同メッセージとして<中小企業の賃上げ><人材の確保および定着>の2つのテーマが採択されました。で、足元に目を向けると我々の労供事業部でも数名の労働者が(賃金が理由で)流出している。そういうことが続かないよう、魅力ある生コン業界にするため、今春闘が生コンワーカーに<魅力ある賃上げ回答>となるよう、検討をお願いしたいと」締めた。
冒頭の挨拶を行う、KURSの寺岡正幸議長。
続くKLWS議長の松井順一郎氏からは「私たちKLWSは、労供の組織ですが、オーナー会代表の皆さんには、ぜひ各社の経営者に<ここで決まったことを、キッチリ伝えてほしい>。なぜかと言うと、我々はここで終わりではないからです。ここで決まった後それぞれが各社と交渉せなあかんからです。その伝わり方で各企業の反応が違ってくる。我々は(正規社員としての)既得権がないものですから、お願いしてそれを認めてもらうという立場にある。しかし我々も労働組合として組織を構えているわけですから、そういうことをご理解いただいた上で、ここで決められたことが、今後、我々にどう跳ね返ってくるのか、この春闘は大きく関わる協議の場やと思いますので、どうか誠実に伝えていただきたい」と、挨拶。<非正規労働者の春闘の実態>を再確認し、その切実な思いを代弁してくれた。
今回のKURS・KLWS各議長の挨拶は、今春闘から交渉の席に着かれた、オーナー会新会長の藤中昌則氏を意識してか、春闘における労組側からの象徵的な課題を再確認する内容となった。
挨拶を行う、KLWS議長の松居順一郎氏。
この後、経営者側を代表して、オーナー会の藤中昌利新会長から挨拶があった。
「会長に就任させていただいて、最初の春闘、労使交渉なので、お手柔らかにお願いしたいと思います。生コン業界が、このように順当に発展してきたことは、既存の労働組合や労働者供給事業の手助けがあって成り立ってきたと私は思っています。ですから引き続き良好な関係を築いていきたいと思いますし<クルマの両輪のようにやっていきたい>と思っています。
松居議長が仰っておられた(決定事項をキッチリと伝えるという)ことですが、正規雇用のほうは、今回、趣旨説明を聞かせていただいて、交渉を経た上で方向性が決められ従来通り個別交渉に移って行く。そして非正規雇用についてはここで指針を出して、オーナー会としてはその指針を全社が履行できるような体制を整えているつもりですけど、過去来のオーナー会や大阪広域協組との関係性からすると、(皆さんのほうでは)ご不満があるということですので、(伝達体制について)どこまで徹底できるかは分かりませんが、その責任は充分に感じております。
また最近タクシーに乗ると、確かに若い運転手が多いですよね。そのへんが寺岡議長の仰っていたことだと思います。やっぱり給与の良いほうへ流れるんだろうなと思います。もちろん、我々も危機感を持たなければならないと感じます。我々は約60%、1,200人前後の(労働者の)供給を受けていますから、そこはキッチリとしたカタチで機能していかないと我々も発展していけないので、当然そのあたりは<誠実な交渉>ということで進めたいと思っております。(この場で)いろんな意見を聞いて対応していきたいと思いますので、よろしくお願いします」。冗談も交えながら、各議長の語った課題に対して回答するカタチで挨拶を行った。
挨拶を行う、オーナー会の藤中昌利新会長。
この後は、KURS事務局長の岡元貞道氏から、要求内容について趣旨説明が行われ、オーナー会代表は、KURS・KLWSが準備した<KURS・KLWS'26年度春闘 統一要求書>を一旦持ち帰り協議のうえ回答を準備。次回の集合交渉では、お互いの意見をまな板の上にのせて、合意点を求めて労使で協議を行う。予定ではその後、微調整を経て最終交渉(合意)へと進む流れだ。
今回は藤中氏がオーナー会会長に就任後、初めての春闘ということで、ご自身の挨拶でも、個人的な思いとオーナー会会長としての立場の両方を考えながらの言葉として、ハッキリと明言できない部分もあったとは思うが、初めての春闘に対しては<誠実な交渉>との姿勢をうかがうことができた。
さて、KURS・KLWSとオーナー会の<'26春闘>は、どのようなカタチで決着するのか…。物価高にあえぎ、苦しい中で日々の仕事をこなしている労働者の置かれている現状を認識していただき、良い結果で合意がなされるよう最後まで見守りたい。
趣旨説明を行う、KURS事務局長の岡元貞道氏。
意見を述べる、KURS副議長の本多裕重氏。
意見を述べる、オーナー会理事の山田英幸氏。
意見を述べる、KURS事務局次長の木村敦豪氏。
冗談も飛び出す和やかな雰囲気の中、お互いの駆け引きが行われた(上労組側・下オーナー会側)。
●<KURS・KLWS26年度統一要求書>の全文は、下記のボタンンからご覧いただけます。