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近畿生コン関連協議会

[続]偽装労組

偽りの連鎖が、今はじまる。

偽りの連鎖が、今はじまる。

  1. 衝撃!武委員長解任劇とその背景<6>

2022.04.28

衝撃!武委員長解任劇とその背景<6>

生コン業界のドンとして君臨してきた武建一・全日本建設運輸連帯労働組合(全日建=連帯ユニオン)関西地区生コン支部(大阪市西区、以下関生支部)委員長が2021年10月10日開催された<関生支部第57回定期大会>で委員長を解任されたことは、業界に衝撃と波紋を呼んだ。その一方で、新たに選出された前副委員長の湯川裕司・新執行委員長とは、「一体どんな人物なのか」と読者から強い関心が寄せられている。そこで、今回は主として湯川新委員長の横顔について、公になっている出版物や元関生支部幹部の証言などをもとにあきらかにしたい。

関生支部の機関紙『くさり』(2021年12月10日)に掲載された湯川新委員長インタビューによると、1972年生まれで出身は京都府。26歳で小型ミキサーの運転手になり、2000年関生支部に加入。2003年~2013年執行委員、2013年~2021年副執行委員長、そして昨年2021年10月10日開催された関生支部第57回定期大会で、執行委員長に選出された。「もともと武前委員長の後継者と目されてきた人物」(生コン業界関係者)だが、どういう組合活動経歴の持ち主なのか。湯川新委員長と近い関係にあり、その関生支部では部下でもあった元同支部幹部K氏(以下、K氏)は、2020年10月、中央労働委員会に提出した<陳述書>の中で、湯川新委員長についてこうあきらかにしている。

湯川新委員長は<ベストライナー(京都市)>の元組合員

京都の生コン製造会社が加入する京都生コンクリート協同組合(以下、京都協組)が設立した、(有)ベストライナーという、主に同協組の加盟社が製造する(生コンを運ぶ)生コン輸送会社があった。K氏はそのベストライナーのミキサー車の運転手をしていた。2001年ころ、関生支部に加入し、翌2002年10月他の組合員約10人と一緒に組合を<公然化>し、関生支部・ベストライナー分会を立ち上げた。2009年、そのベストライナー分会に当時関生支部執行委員だった湯川新委員長が加入してきたという。ただ、湯川新委員長は組合専従だったため、ほとんど会社で仕事をしたことはなかったという。2013年、ベストライナーは解散。組合員は関生支部が経営するタカラ運輸京都営業所に移籍したという。ただ、湯川新委員長がタカラ運輸京都営業所に移籍したかどうかは不明だ。

湯川新委員長<コンプラ活動>を指揮

K氏は2018年11月、大手住宅メーカー・セキスイハイム近畿(株)に対する威力業務妨害事件で、滋賀県警組織犯罪対策課に他の組合員らとともに逮捕され、その後起訴された。このセキスイハイム事件を皮切りに、以降1年の間、関生支部として湯川副委員長(当時)の指揮の下、ターゲット会社等に対して、<コンプラ活動>と称して行っていた多くの嫌がらせ行為などについて、威力業務妨害、恐喝未遂等の罪名により5つの事件で起訴された。2020年2月3日、大津地裁で懲役3年執行猶予5年の有罪判決を受けた。

K氏は、保釈中の2021年3月、関生支部を脱退した。その理由について、こう陳述している。「理由は、警察に逮捕されたことにより自分が関生支部の<組合活動>としてやってきた対外的な活動のほとんどが犯罪行為であったことを改めて思い知らされ、自分ながら情けなく、忸怩(じくじ)たる思いにかられたこと、これに加え、関生支部のドンである武建一執行委員長(当時、以下、武委員長)や湯川副委員長(当時)ら幹部が<組合活動>と称して、私たちに多くの違法活動をさせておきながら、私たちの知らないところで相手企業等から、いわば金集め目的で我々に<組合活動>をさせていたと思わざるを得ない行動をとっていたことが分かり、関生支部に幻滅したことです。それと、逮捕されて新聞報道されるなどして家族等に大変な思いをさせてしまい、もうこれ以上同じことを繰り返してはいけないという気持ちになったことです。-以下略-」。

<陳述書>の詳細については後日、あきらかにしたいが、今回の一連の刑事事件で湯川新委員長は8回逮捕され、ゼネコン(株)フジタ関連で恐喝未遂、セキスイハイム近畿関連で威力業務妨害、ベストライナー関連で恐喝とそれぞれ起訴され、公判が行われている。

斎藤建材事件で有罪判決

湯川新委員長が刑事事件で逮捕・起訴されたのは、今回が初めてではない。関生支部が<刑事事件>を<弾圧事件>とすり替え、自らの犯罪行為を正当化している事件の一つに、いわゆる(株)斎藤建材事件がある。事件当時の新聞報道などによると、2007年3月1日午前8時半ころ、争議中だった高槻市の生コン会社・斎藤建材に、関生支部執行委員(当時)だった湯川新委員長ら組合員約50人が押しかけ、作業中だった同社の社員に暴行し、骨折など2カ月の重傷を負わせるなどした容疑で、同月8日、関生支部組合員4人が大阪府警に逮捕され、関生支部事務所など17カ所を家宅捜索した。このうち、湯川執行委員(当時)は傷害容疑での逮捕だった。4人のうち有罪判決となったのは2人。そのうちの1人が湯川新委員長で、傷害罪で懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が確定した。

<表>は労組幹部、<裏>は会社経営者

「組合専従」だった湯川新委員長には、実は別の顔があった。過去に<(株)建英>(京都市左京区静市市原町)という会社を経営していたことがある。同社の設立は2014年5月。運送業や生コン・セメントの製造・販売などを目的にした会社だ。会社設立時の前年、湯川新委員長は、関生支部副委員長に就任したばかりだった。湯川新委員長は、2016年11月、その<建英>の代表取締役を辞任。代わって京都市在住の山本真也なる人物が代表取締役に就任している。2017年5月、<建英>は、京都市山科区に移転する。そして、2020年3月、同社代表取締役には山本氏に代わって関生支部の坂田冬樹現副委員長が就任。同じ日付で会社を大阪府高槻市に移転させ、今日に至っている。

さらに、いわゆる湖東協組(湖東生コンクリート協同組合、滋賀県東近江市)理事で、運営委員長の立場にあった朝夷健治・関生支部OB(ゼネコン・フジタ関連の恐喝未遂で、2019年4月、大津地裁で懲役3年執行猶予5年の有罪判決、以下朝夷OB)が経営していた<(株)京宝>が、先述の<建英>が会社を置いていた京都市左京区の同じ場所に、2008年10月、大阪府羽曳野市から移転してきているのだ。<京宝>の前身は<(株)ジェイ・エム・ケイ・ハビキノ>で、関生支部OBらが役員に就任していた。朝夷OBは、2010年9月、<京宝>の代表取締役を辞任する。朝夷OBの活動の場は、滋賀県に移った。朝夷OBはもともと、滋賀県愛知郡愛荘町で<(株)JMKテイク・ワン・コンクリート>(旧社名は(株)ジェイ・エム・ケイ・テイク・ワン・コンクリート)という生コン製造販売会社を経営していた。2001年7月設立で、役員には湯川副委員長(当時)や故高英男・副委員長(当時)、武洋一書記長(現副委員長)など関生支部幹部やOBが名前を連ねていた時期もある。要するに<建英>も<京宝>も<JMKテイク・ワン・コンクリート>も、関生支部つながりで一体の関係にあったのだ。そしてもう一つ、湯川新委員長が役員に就任していた生コン製造販売会社が京都市下京区材木町にある。<(株)京都エアード>だ。会社設立は、2015年3月。湯川新委員長は2015年8月、設立されたばかりの同社の取締役に就任。フジタ関連の恐喝未遂事件で滋賀県警に逮捕された2018年8月、役員を辞任している。湯川新委員長の<表>の顔は労組幹部、<裏>の顔は生コン会社役員だったのだ。

「私腹を肥やしている」幹部とはだれか?

武前委員長は、肩書を利用して私腹を肥やし、高級腕時計をはめ、高級車に乗り莫大な預金をしている幹部がいると指摘しているが、このことは、先に紹介したK氏の<陳述書>の中にもこう書かれている。

「日頃から300万円程する高級腕時計や高級スーツを身に着け、高級車(レクサス)に乗って毎晩のように生コン会社社長らと高級飲食店に出入り」していた幹部とは誰なのか。湯川新執行部は、ダンマリを決め込み、一切、反論していない。このままでは、残った組合員や支援者の納得を得ることはできない。

湯川裕司新執行委員長のインタビューが掲載された『くさり』紙面。
湯川裕司新執行委員長のインタビューが掲載された『くさり』紙面。

湯川裕司新執行委員長のインタビューが掲載された『くさり』紙面(画像上下)。

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