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近畿生コン関連協議会

独占連載「偽装労組」

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

  1. Vol.42 続・出荷妨害事件の真相4

2021.05.31

Vol.42 続・出荷妨害事件の真相4

連帯ユニオン関西生コン支部(以下、関生支部)による威力業務妨害事件、いわゆる<大阪港SS(サービスステーション、以下省略)>事件のうち、関生支部副委員長の七牟禮時夫被告ら7人に、去る3月15日、大阪地裁で有罪判決が言い渡された。今回は、なぜ、威力業務妨害事件が起きたのか、その原因を改めて説明したい。

事件最大の要因は<環境整備費>問題

そもそも、なぜ、威力業務妨害事件は起きたのか。

2021年1月27日に行われた、七牟禮副委員長ら7人の被告に対する検察側の論告求刑によると、その最大の理由は、当時<大阪広域生コンクリート協同組合(大阪市中央区、木村貴洋理事長、以下、広域協)>が、関生支部に支払っていた、生コン出荷量1㎥あたり100円(毎月約4,000万円)の<環境整備費>の支払いを止めたことだ。

本来<環境整備費>の目的は、組合員の福利厚生のための費用。関生支部には、一般社団法人・大阪兵庫生コン経営者会(当時、以下、経営者会)を介して、広域協から2015年12月~2017年11月までの約2年間、4億5,264万5,091円もの巨額なカネが支払われていた。広域協の木村理事長は、関生支部の武建一委員長に対して、「貴殿は労働者のため、業界のため、色々と理由はつけていますが、結局のところ、すべてのことは私利私欲の巨額な金銭目的でやっていることはあきらかです。約2年にわたり、当協同組合から経営者会を介して得た4億5,264万5,091円は一体どこに消えたのですか?」と、書面で問いただした。

約4億5千万円の使途明らかにせず

武委員長は、巨額のカネを何に使ったか明らかにしなかったが、経営者会の資料によると、支払先の内訳は次の通りだ。

▽生コン懇話会 3,672万円
▽組合総研 1億3,299万1,980円
▽協同会館アソシエ 1,644万6,111円
▽グリーン(コンクリート研究センター) 4,972万円
▽KU会 306万円
▽労働学校アソシエ 4,229万5,000円
▽渡辺千賀子(ソプラノ歌手) 351万2,000円
▽近畿生コン関連団体(コモンズ) 121万円
▽近バラ(変革のアソシエ) 50万円
▽連帯 1億3,390万円

このうち、関生支部の二大拠点の一つ、大阪市東淀川区淡路3-6-31の<アソシエ会館>内に所在地があるものは、生コン懇話会、組合総研、協同会館アソシエ、KU会、渡辺千賀子などだ。

さらに、

▽尾上部屋 839万5,000円
▽社会資本研究会 36万円
▽沖縄意見広告 115万190円

――などの支出がある。

<環境整備費>を相撲部屋後援会費などに流用

広域協は支払金が、相撲部屋の後援会費やソプラノ歌手のチケット代など、武委員長の個人的趣味としか思われないものにまで使われていることを問題視。2017年9月29日、武委員長側に<環境整備費>の支払いを止めると宣告したところ、武委員長は「止めたら行動を起こす。徹底的にやる。逮捕者を出してもやれ」と部下に指示した。しかし広域協側は、支払いの継続を拒否し、2017年11月30日から<環境整備費>の支払いを止めた。

<環境整備費>ストップで<スト>決行

この<環境整備費>の支払いストップ問題について、武委員長は自らの手帳に「(2017年9月25日開始の週の頁に)先制攻撃はしないがやられたらやりかえす」。「(同年10月2日開始の週の頁に)29日100スト(ッ)プしていたが・・・振り込みをした。この問題は我々の存在価値が問われている」などと記載。さらに、同年10月17日には、「バラセメント輸送を一斉に止める」と表明し、同月27日には「広域協の一部の人は(1㎥あたり)100円(を)止めるとかね、そんな話が出たりするんですが・・・もし、<環境整備費>の支払いを止めることがあれば、労働組合にケンカを売っているのと同じ」と発言し、同年11月25日の関生支部の中央委員会で「12月12日から無期限で<ストライキ>を行う。広域協の運営を正常化する取り組みとして非常に重要である」と表明。

同年12月4日の武委員長の手帳の欄には「100円ストップ11月末」、12月11日開始の週の頁には「100円権利だ」と記載されていた。

こうした武委員長の手帳の記載や発言から、検察側は犯行の動機についてこう明らかにしている。

<環境整備費>支払い狙い<スト>で威嚇

「(2017年)9月29日に<環境整備費>を止めることを告げられてから3週間足らずで『バラセメント輸送を一斉に止める』と表明し、実際、同年11月末に<環境整備費>の支払いが止まると。同年12月12日から犯行が実行されている。このことからすれば、武被告は広域協から、重要な資金源である<環境整備費>の支払いを止める旨告げられたことから、広域協の木村理事長らに対する敵意を強め、広域協に損害を与えることで、業界での主導権を掌握し、<環境整備費>の資金を確保することにし、<ストライキ>と称して、バラセメント輸送を止めて、これを原料とする生コンの出荷を止めることを計画。その一方で、<ストライキ>をする旨、威嚇して<環境整備費>の支払いに応じさせようとしたが、広域協の木村理事長が応じなかったため、実際に<ストライキ>と称して、本件犯行を決行したものとみとめられる」。

<運賃値上げ>は虚構

七牟禮副委員長ら7人の被告に対する判決は、これまで紹介したように、検察側の<環境整備費>に関する論告求刑を受けてのことである。法廷で明らかにされたことを検証するかぎり、「運賃値上げの約束が果たされなかった」との、関生支部の<ストライキ>の根拠を見つけるのは至難の業だ。

支出が発生したとされる団体が多く入る<協同会館アソシエ>。

支出が発生したとされる団体が多く入る<協同会館アソシエ>。

※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。

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