KURS(コース) /
近畿生コン関連協議会

建物探訪

関西の名建築を訪ねて、モチベーションアップ。

関西の名建築を訪ねて、モチベーションアップ。

  1. Vol.02 大阪松竹座

2018.11.02

Vol.02 大阪松竹座

♪赤い灯~青い灯~道頓堀の~、昭和初期の名曲、道頓堀行進曲は、遥か昔、安井道頓らが開発し、芝居町として栄えてきた道頓堀の面影を伝えてくれます。そんな道頓堀に立つ大阪松竹座は、モダンながら風格ある外観を誇る、道頓堀で唯一の本格的な劇場です。海外からの旅行者で賑わう、現在の道頓堀からは想像もつかない浪花の情緒を、今も大阪の人々に伝え続けています。巨大アーチが特徴的な正面玄関には、当時品質の高かったアメリカ製テラコッタが使われています。

現在では道頓堀で唯一の本格的な劇場

安井道頓らに拓かれた〈道頓堀〉は従兄弟 道卜により芝居町として隆興。

大阪松竹座のある道頓堀は、大阪市中央区の道頓堀川沿いに広がる繁華街を指します。

道頓堀の名称は、慶長17年(1612年)に東横堀川と西横堀川をつなぎ木津川へ流れる堀川の堀削工事を、大阪城外堀工事の功労により秀吉から城南の地を拝領した、安井道頓らが着手したことに由来します。

工事は道頓の死後、従兄弟の道卜(どうぼく)が引き継ぎ、私財を投じて元和元年(1615年)に完成。当時は新堀、南堀川などと呼ばれていましたが、当時の大坂城主、松平忠明が道頓の功績を称え道頓堀と名付けました。

その後道卜は、この地を振興するため、南船場にあった芝居小屋を道頓堀の南側に移設。当時は浜側に芝居小屋が立ったものの、承応2年(1653年)、芝居名代5棟が公認されたことを契機に、道頓堀南側に、道頓堀五座を始めとする芝居小屋が立ち並び、歌舞伎や人形浄瑠璃が演じられるようになったのです。

日本初、鉄骨鉄筋コンクリート造の〈大阪松竹座〉が竣工。

芝居町として知られるようになった道頓堀は、道頓堀通り北側に47軒ほどの芝居茶屋(座席や食事の手配をする商売)を中心とした飲食店など、芝居見物を当てにした店で大いに繁栄。歴史に翻弄されつつも、明治、大正、そして昭和初期頃まで長らく芝居町として賑わいました。

時代の流れとともに、道頓堀は姿を変え、現在では歌舞伎や演劇などを上演する本格的な劇場は、戎橋南詰め西側にできた大阪松竹座のみとなりました。

大阪松竹座は、大正12年(1923年)に、日本初の鉄骨鉄筋コンクリート造の映画館として竣工。設計は劇場建築の名手と言われた大林組の木村得三郎が担当しました。ネオルネッサンス様式を取り入れ、イタリア・ミラノのスカラ座をイメージして造られた建物は、正面玄関にテラコッタを使った大きなアーチが特徴的。そのデザインは、平成9年(1997年)の改築の際にも残され、芝居町として栄えた道頓堀の風情を今に伝えるように、威風堂々とした姿を保っています。

芝居町として賑わった頃の道頓堀通り。向かって右(南)側に道頓堀五座などが並んでいます。

最新設備を整えた劇場として浪花情緒や芝居町の雰囲気を醸成。

最新設備を整えた劇場として生まれ変わった大阪松竹座は、現在、道頓堀で唯一本格的な演劇公演の行える劇場として、また2018年に劇団創立70周年を迎えた、三代目渋谷天外率いる松竹新喜劇の本拠地として、今も大阪の人々に親しまれています。

近年の道頓堀は、外国人旅行客が闊歩する観光名所となり、♪赤い灯~青い灯~道頓堀の~という、道頓堀行進曲の歌詞にうたわれるような、粋な世界観を求めることはできませんが、大阪松竹座が、これからも歌舞伎やミュージカル、松竹新喜劇、OSKなどの公演を続けるなかで、かつての浪花情緒や芝居町道頓堀の雰囲気を、醸し出し続けてくれることでしょう。

劇場1階席の椅子と壁、床面は赤を基調として非日常の演劇空間を演出しています。柿色を基調とした緞帳は、王朝時代から続く高倉家に伝わる、調進控有職文様絵形の下絵集成の中から取材した『有職麗華』という題名です。また緞帳を縁取るプロセニアムは公演内容によって上部が可動します。

建物概要

名称 大阪松竹座(SHOCHIKUZA)
建築地 大阪市中央区道頓堀1-9-19
用途 劇場、飲食店舗
構造・規模 RC・SRC・S造、地下2階、地上8階
敷地面積 1,820.73m2
建築面積 1,545.62m2
延床面積 11,253.84m2
工期 着工 平成6年10月19日
竣工 平成9年2月24日

舞台設備概要

客席 1,033席(1階席:553席、2階席:282席、3階席:198席)花道使用時
舞台 間口 7.3m~9m 可動式
高さ 528m2
面積 常設、電動式
宙乗り設備 直径13.635m
廻り舞台 大小7基内蔵
せり
  • No.1 3940 × 1365
  • No.2 2730 × 910
  • No.3 11215 × 1970
  • No.4 1970 × 3030
  • No.5 5454 × 3030
  • No.6 1970 × 3020
  • No.7 3940 × 1365
スッポン No.1、No.2共、909 × 909、連結運転可能
注:No.1、No.2、No.7は奈落~舞台/No.3、No.4、No.5、No.6は奈落~舞台面上1.5m
花道 幅…1.5m、長さ…19.1m
オーケストラボックス 面積 1,42.6m2
深さ 1.55m~1.92m固定

施工業者一覧

設計監理 株式会社ユー・アソシエイツ
劇場内部監修 (有)杉山隆建築設計事務所
劇場インテリアデザイン インターアーク株式会社
構造・設備設計、申請 株式会社大林組
施工 大林組・清水建設共同企業体
舞台床工事 金井大道具株式会社
舞台機構工事 三精輸送株式会社
舞台照明工事 丸茂電機株式会社
舞台音響工事 不二音響株式会社
客席椅子工事 株式会社コトブキ

※上記の概要は、改築時の概要情報です。

協賛団体

PAGE TOP