2021.04.07

2021春闘＜統一要求書＞、4回の代表協議を経て大筋合意。

オーナー会会議室で行われたKURS＜2021年春闘＞、最終交渉のもよう。

オーナー会とKURSが、＜統一要求書＞合意へ向けての最終交渉。

◎一部の継続協議はあるものの、4回の代表協議を経て大筋で合意。

KURS（コース＝近畿生コン関連協議会、以下、KURS）と、一般社団法人西日本建設関連オーナー会（以下、オーナー会）の、2021年度＜春闘＞最終交渉が、同年3月31日、大阪広域生コンクリート協同組合（大阪市中央区）会議室において開催された。

今回の交渉は、同月10日に、KURS側が趣旨説明を行った、＜2021年・近畿生コン関連協議会統一要求書＞の内容に対し、4回にわたる協議、検討、調整を重ね、事前提出した修正案について、労使がひとつのテーブルで話し合うことにより、考え方のくい違いや誤解を解消し、合意にこぎつけることが目的だ。

当日の交渉では、労使双方から意見が交わされたのち、一部が継続協議となったものの、文言に対する必要な補強と修正を行うことを前提に、要求については大筋で合意となった。

◎前向きな意見など、なごやかな雰囲気の中で質疑応答。

まず冒頭で、今回進行役を務められた、オーナー会理事の植田重夫氏から、オーナー会側の考え方が示され、若干の表現の修正や意図の確認、また一部、もう少し議論を深めたほうが良い項目については、継続協議にしたいとの提案があり、岡元貞道KURS事務局長がそれぞれについて、意見を述べるかたちで対応した。もちろん修正も継続協議も、労使どちらかの利害の話ではなく、今後の業界のことを考えたうえで、お互いが納得できる内容である。議論は植田氏を中心に、オーナー会会長の菅生行男氏や同会理事の山田英幸氏、（株）関西宇部の北岸一宏氏、またKURSからは岡元事務局長のほか、本多裕重KURS副議長からも、忌憚のない意見が出された。

ひと通り協議が終わってからは、リラックスした雰囲気のなかでの意見交換となり、今後の業界に求められる人材像や、直近の出荷状況に対する労働者側への協力要請、また最後にはオーナー会の木村貴洋顧問から、本交渉日前日の同月30日、大阪地裁で、武建一被告の論告求刑が出されたことに話が至り、「このたびの論告求刑で流れが変わると思われるので、今後の動きを注視してほしい」などの要請があった。

今回、進行役を務められたオーナー会理事の植田重夫氏。

意見を述べるオーナー会理事の山田英幸氏。

意見を述べる（株）関西宇部の北岸一宏氏。

意見を述べるKURS副議長の本多裕重氏。

◎「KURSとオーナー会で、信頼し合いながらやっていきたい」（菅生会長）

現在KURSとオーナー会は、業界発展を目的に、集団的労使関係の構築をめざし、4年目にして増々結束を固めている。

本交渉には＜春闘＞と言う言葉が使われているが、KURSが考える＜春闘＞とは、昔ながらの＜春闘＞のかたちではない。労使が目先の損得だけを見て無闇に闘うことではなく、＜業界発展＞という一つの大きな目的に向かって、お互いの立場を尊重しながら共に闘う、というポジティブな意味が当てはまると考えている。今年で4年目となる労使関係は、ここへ来て、他にはない新たな集団的労使関係のかたちを呈してきた気がする。

終盤、そのことを確信できるやり取りがあった。岡元事務局長と菅生会長が交わした言葉を紹介したい。

まずは岡元事務局長から、「我々は2017年12月に連帯と袂を分けてから、一貫して、業界秩序の確立をベースに健全な労使関係の確立を目指してきました。それは今後も変わりません。この動きを揶揄する者もありますが、我々はそんな声は無視して、この労使関係のなかで、労働者や組合員の生活が守られていけたら良い、という思いで動いてきたので、そこは是非とも信用していただきたい」、対する菅生会長は間髪を入れずに、「こちらこそ、その部分に関しては、KURSとオーナー会で、お互いに信頼し合いながらやっていきたいと思っています。経営者もいろんな人間がおりますが、労働者の皆さんも、今までの働き方ではなく、会社に喜ばれるような、会社側が気持ちよく払うものは払えるような仕事の仕方に努めていただきたいので、今後ともよろしくお願いします」と、お互いの立場を尊重する、紳士的な挨拶で、2021年の＜春闘＞集合交渉を締めくくった。

この後、＜2021年・近畿生コン関連協議会統一要求書＞は、今回の協議内容を反映したうえで提出され、最終的には、4月14日に正式調印となる見込みだ。