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近畿生コン関連協議会

独占連載「偽装労組」

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

  1. Vol.26 セメント出荷妨害事件の真相1

2020.09.30

Vol.26 セメント出荷妨害事件の真相1

今回から、連帯ユニオン関西生コン支部(以降、関生支部)が2017年12月12~15日までの間、<ゼネスト>と称して、<(株)中央大阪生コン>(大阪市西成区)の工場及び<宇部三菱セメント(株)大阪港SS(サービスステーション)>(大阪市港区)など、セメントメーカー6社の各SS40数カ所で行った生コン・セメントの出荷妨害事件を取り上げる。

「逮捕者を出してもやれ」と武委員長が指示

<大阪広域生コンクリート協同組合>(大阪市中央区、木村貴洋理事長、以降、大阪広域協組)を告発人、<中央大阪生コン>(延山春鷹代表取締役)と<ダイワN通商(株)>(大阪府高槻市、大山正芳代表取締役)を告訴人として、2018年6月22日、関生支部の武建一委員長ら24人を<威力業務妨害罪>で大阪府警に告発・告訴したことから事件となった。

関係者によると、事件の始まりは、2017年11月25日開かれた関生支部常任委員会で、武委員長が「バラセメント輸送運賃・生コン輸送運賃を引き上げるために同年12月12日から無期限ストに入る」「広域協(大阪広域協組)の運営を正常化する取り組みとしてこの行動は重要だ。これが成功すれば業界の流れが一気に変わる」と発言したことだ。そして、同年12月5日又は6日の緊急常任委員会で<ストライキ実行>を決議。12月6日、<大阪広域協組>と関生支部との<集団交渉>の場で、執行委員の西山直洋・争議対策部長は「SSストップです」「12日からやります」「敵は広域協(大阪広域協組)」などと発言。また、同年12月8日には、柳充・元副委員長が<大阪広域協組>の地神秀治副理事長に、「武委員長から、徹底的にやれ、逮捕者を出してもやれと指令が出ている」と告げ、同副理事長に「環境整備費の支払い」や、「輸送運賃の値上げをする旨の書面を作成する」ことを要求した。しかし、同副理事長は一連の関生支部の要求を拒絶した。関生支部と<大阪広域協組>の窓口になっていた同副理事長とのやりとりの経過は後日詳細する。

さて、<ストライキ>は、毎日200人前後の連帯組合員を動員して行われ、「今回は轢(ひ)かれてでもいいから止めてこい」との号令の下、ピケ※1を張らせるなど、工場ないしSSへのミキサー車やバラセメント輸送車の出入りを妨げることで、<中央大阪生コン>の生コン出荷、及び大阪広域協組加入の各生コン製造業者のセメント仕入業務等を妨害した。それにしても、なぜ2017年12月12日の<中央大阪生コン>に対する業務妨害行為、及び同月13日の<宇部三菱セメント大阪港SS>での、<ダイワN通商>のバラセメント輸送車の出入りを妨害したのか。先の<告発・告訴状>によると、その理由はこうだ。

「連帯等がこのような大規模なストライキを実施する中で、生コン製造工場については唯一中央大阪生コンのみを標的にしたのは、今回のストライキの原因となった連帯の武と広域協(大阪広域協組)の間における環境整備費の支払い、南大阪生コンの構造改善事業に係る解決金要求問題等の協議において、地神(秀治副理事長)が広域協(大阪広域協組)側の責任者として、連帯ないし武からの不当な要求を強い姿勢で拒絶したことから、あえて地神(秀治副理事長)がオーナー会社である中央大阪生コンを標的にしたものと考えられる」。

<宇部三菱セメント(株)大阪港SS>への出荷妨害行動。

<宇部三菱セメント(株)大阪港SS>への出荷妨害行動。

<中央大阪生コン>と<ダイワN通商>を標的

連帯は、同年12月12日、全部で46カ所を超える事業所で妨害行為を行った中で、<中央大阪生コン>及び<宇部三菱セメント大阪港SS>に対してはいずれも約30人ずつもの大量の組合員を集中的に配置させた。同年12月13日にも<宇部三菱セメント大阪港SS>に約30人、同堺SSに約20人の大量動員をかけたのは「元々宇部三菱セメントが、広域協(大阪広域協組)の理事長である木村(貴洋)の出身会社であり、かつ、地神(秀治副理事長)と共に(連帯との)協議で、強く武を追及した大山(正芳副理事長)が代表取締役を務める『ダイワN通商』のバラ車がSSでセメントを積み込み、中央大阪生コン等へそれらを運搬していてストに対して強く反撃される恐れがあることなどを理由とするものと認められた」と、している。

連帯は、<宇部三菱セメント大阪港SS>内に事務所を置き、同SSの管理も請け負っているバラセメント輸送業者の<(株)植田組運送店>(大阪市港区)の出荷妨害も行い、威力業務妨害及び強要罪で七牟禮時夫副委員長ら16人が逮捕され、うち7人が起訴されている。

「3日間止めれば勝ち」と公言

<告発・告訴状>によると、犯行はまず武委員長から湯川裕司・副委員長に「(2017年)12月12日より無期限スト実行」の指示が出されとしている。その指示に基づき、同年12月11日には争議対策部の西山部長、大原明副部長から各ブロック長、書記長、さらに各ブロック傘下の分会長に対し、<ストライキ>への各分会の動員割当人数、集合場所・時間などが伝達され、その指示に基づき<ストライキ>と称する<出荷妨害>が行われた。

<ストライキ>直前の12月9日、連帯幹部は、大阪市内ブロックの組合員らに対して「組織の命運を分ける闘い」「3日間止めきれたらうちの勝ち」と公言していた。なぜ、「3日間止めきれば」連帯の勝ちというのか。<告発・告訴状>は、その理由をこう説明している。

「武が広域協(大阪広域協組)に対する嫌がらせ等の目的であえてセメント製造会社の多数のSSをストライキの標的にしたのは、各生コン製造会社の工場には通常1日ないし1日半で使う量のセメントしか備蓄がなく、2日間もセメントの供給が止まればどの生コン工場も生コン製造をすることができなくなることを狙ったものである」。そして、実際に<阪神生コン建材工業(株)>(大阪広域協組加入、以降、阪神生コン=本連載Vol.24、同25参照)の代表取締役である上田純也が、連帯系の<近酸運輸(株)>(兵庫県尼崎市)に委託していた自社(阪神生コン)の生コン輸送業務が、2017年12月12日に近酸運輸のスト参加でストップしたため、翌13日、同社の実質的経営者である武委員長に直接会いに行ってその件の不満を伝えたところ、武委員長は、『今セメントを止めているので、2日で生コン製造はどこもストップするはずや。そうなった時点で経営者会に入っている社には生コンの出荷ができるようにする』」などと説明したという。目的のためには手段を選ばない、なんとも卑劣な人物であり、「組合」だ。

<ストライキ>と称した<出荷妨害>

ところで、これまで紹介した3社の従業員には組合員は誰もいない。労働組合がスト権を行使できるのは、労使関係が存在することなどが条件になっている。つまり連帯がやったことは<ストライキ>ではなく、あくまで罪に問われる<出荷妨害>なのだ。

さて、この<出荷妨害>事件により、去る2020年6月12日の公判で、検察側が論告で威力業務妨害罪で懲役2年6月を求刑した西山被告(争議対策部長)と柳被告(元副委員長)の大阪地裁判決は2020年10月8日に言い渡される。

次回は、なぜ、無謀な「ストライキ」を決行したのか、その経緯を深堀りする。

 

※1.ピケ…主に、労働争議などで職場に見張りを置いて、雇用者側へ他の労働者が流れないよう監視すること。

※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。

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