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近畿生コン関連協議会

独占連載「偽装労組」

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

連帯ユニオン関生支部の正体を暴く。

  1. Vol.32 セメント出荷妨害事件で初の有罪判決6

2020.12.28

Vol.32 セメント出荷妨害事件で初の有罪判決6

セメント出荷妨害事件をめぐって今回は、大阪地裁で懲役2年6月、執行猶予5年の有罪判決を受けた、<連帯ユニオン関西生コン支部(以下、関生支部)>の西山直洋同支部執行委員・争議対策部長(以下、西山被告)と柳充同支部元副委員長(以下、柳被告)の両被告と、武建一同支部委員長(以下、武被告)との共謀について明らかにしたい。

武委員長の手帳に<スト>準備記載

今から3年前の2017年10月17日、関生支部結成記念日の集いが開かれた。この集いで武被告が発言した内容や、大阪府警が押収した同被告の手帳の同年9月27日の欄に、「年内、バラ、輸送、スト、準備する」との記載があり、<準備する>という記載の下部に<↓柳>という記載があった。そのまま読めば、武被告が柳被告に指令を出したということになる。さらに、同年12月4日から10日までのページには、「この段階でストは避けられない状況である」と記述されていた。同手帳には同月11日から17日までのページには、「大阪は地神(秀治・大阪広域生コンクリート協同組合副理事長)のところが11日からスト妨害、12日も同様なことがある」「宇部・麻生がピケ破りの動きがある」「藤中(昌則・大阪兵庫生コン経営者会会長=当時)氏との話で14日までストップ」「13日最終結論として発表する」と記載されていた。こうしたことから、判決は「武(被告)は、実行行為以前から、12月に<ストライキ>と称して(セメントの)出荷を止めようと考えていたことはあきらかである」と断定している。

「担当役員が決めた」と言い逃れ

武被告は、<ストライキ>が自らの指示のもと行われことを否定するため、捜査当局の取り調べに、「ストライキの具体的な行動は、ブロックに所属する担当役員が決める」などと供述し、責任を部下に押し付け、自らは必死で罪を逃れようした。しかし、判決は「関生支部の集会で<ストライキ>(出荷妨害)に動員した関生支部組合員らを称賛し、ねぎらうとともに、実際の妨害行為が武にとってあらかじめ計画していた<ストライキ>の態様と全く異なる事態となっていたという認識をうかがわせるような発言はないことから、武にとって妨害行為が予想外のことであったとは認められない」と認定している。さらに、判決は「そもそも妨害行為は、関生支部が多数の組合員を動員して組織的に慣行した行為の一環であり、関生支部執行委員長という武の立場からすれば、関生支部組合員らが関生支部の指揮命令系統に従ってある程度の実力行使に及ぶことは当然想定していたと考えられるし、具体的な妨害内容は、武にとっても十分想定内であったと認められる」とし、こうした事実からすれば「被告人両名(西山被告、柳被告)と武との間に共謀の事実が認められることはあきらかである」と断定している。

労使関係なしで<スト>は違法

そうして判決は、偽装労組Vol.29<セメント出荷妨害事件3>でも紹介したように、西山・柳両被告の弁護人が主張している<ストライキ>の正当性について、最後にあらためてこう否定している。

「(関生支部組合員は)走行するバラセメント車又はミキサー車の前方に立ちはだかり、その周りを取り囲むなどして、(株)植田組(運送店、以下、植田組)及びダイワN通商(株)のバラセメント輸送業務並びに(株)中央大阪生コンの生コン輸送業務を妨害したものである。また、関生支部組合員らは、植田組関係者や中央大阪生コン関係者との間で、時折声を荒げたり、もみあいになったり、押し合いになったりする場面が生じている。これらの行為は、各業務を妨害するものであったと認められる」「また、そもそも、被害に遭った植田組及び中央大阪生コンには関生支部組合員は存在しない。証拠上、中央大阪生コンが近酸運輸(株)(兵庫県尼崎市)との間で専属輸送契約を結んでいたと認めることもできない(仮に専属輸送契約があったとしても、中央大阪生コンと近酸運輸の労働者との間に労使関係は認められない)。こうみていくと、植田組及び中央大阪生コンのいずれも、関生支部による争議行為の相手方となる使用者ではない」。「妨害行為が強度であること、植田組及び中央大阪生コンは、関生支部との関係で争議行為の対象となる使用者とは言えないことに照らせば、(ストライキが)正当行為とは認められず、違法である」。

そして、判決はこう締めくくっている。

「(西山、柳両被告の)弁護人らは、大阪港サービスステーションでの行為の目的がバラセメント輸送運賃及び生コン輸送運賃の値上げであり、中央大阪生コンにおける行為の目的が近酸運輸労働者の就労確保であったと主張するが、そのような目的があったとしても、妨害行為が強烈であったこと、そもそも植田組及び中央大阪生コンは関生支部の組合活動の対象となる使用者でないことを踏まえると、各行為(ストライキと称した業務妨害)を正当行為であり、違法性はないと判断する余地はない」。

セメント出荷妨害事件については、<ストライキ>に至る過程について、後日詳細したい。次回は、2020年12月17日京都地裁で、関生支部組合員2人に有罪判決が出た、村田建材(加茂生コン)強要未遂事件についてレポートしたい。

車両の前で、大量動員をかけて<ストライキ>と称する<業務妨害>を行う連帯組合員。

車両の前で、大量動員をかけて<ストライキ>と称する<業務妨害>を行う連帯組合員。

※記事をより読みやすくする目的で、偽装労組Vol.4から、強調の意味での「 」や、新たに登場する会社名については、2回目以降の(株)表記を省略しています。

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